ブラザーやコーンズが自動車産業に参入する意味 異業種からの参入が相次ぐ、自動車業界の潮流

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エアバッグの縫製向けに注目を集めるブラザー工業の電子ミシンと、今後の自動運転でも注目度の高いLiDARを出展したコーンズ(筆者撮影)

「100年に一度の変革期」といわれる自動車業界では、今、異業種企業の新規参入が進んでいる。電動化や自動運転技術、安全基準の強化など、自動車を取り巻く環境や求められる技術などが大きく変化・高度化していることを商機と捉え、従来は自動車産業に属さなかった企業が続々と参入する。

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電機メーカー「ブラザー工業」と、テクノロジー専門商社「コーンズテクノロジー」を擁する輸入商社「コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド(以下、コーンズ)」も、そんな異業種から新規参入した企業だ。いずれも創業100年以上の老舗で、それぞれにもともとの事業では扱ってこなかった自動車部品向け製品を用意する。しかも、どちらもすでに一定の実績を誇っており、自動車分野へのさらなる事業拡大を狙っているという。

【2022年2月28日16時33分 追記】記事初出時、社名についての記述に誤りがあったため上記のように修正しました。

クルマの先端技術展「第14回オートモーティブワールド」(2022年1月19~21日・東京ビッグサイト)」では、そんな2企業がブース出展をしていた。それぞれ、どんな独自性や優位性を持って、新たなビジネスフィールドで戦いを挑んでいるのか。自動車業界における最新トレンドの例として紹介しよう。

エアバッグの縫製に商機を見出したブラザー工業

ブラザー工業が展示していた「BAS-375H-L50R」(筆者撮影)

ブラザー工業では、クルマのサイドエアバッグやカーテンエアバッグなどを縫製する商業用電子ミシン、ネクシオ(NEXIO)シリーズの「BAS-375H-L50R」を展示した。

ブラザー工業は、1908(明治41)年に創業者の安井兼吉氏が、名古屋市に同社の前身「安井ミシン商会」を設立して以来、114年の歴史を誇る企業だ。現在は、ミシンやプリンター、ファクシミリなど、さまざまな電機製品を製造販売し、海外でもグローバルに展開する。その同社を代表するのが、ご存じのとおり「ブラザー」ブランドのミシン。古くから親しまれてきた家庭用はもとより、産業用機器も製造しているが、従来までの取引先は主に服飾業界。自動車業界には縁もゆかりもなかった。そんな同社が、自動車業界に進出するきっかけとなったのが、独自のブリッジ型機構を採用したBAS-375H。なかでも今回展示したL50Rは、最も縫製エリアが広いことで、近年、サイドエアバッグやカーテンエアバッグを製造する自動車部品メーカーなどから引き合いが増えている機種だ。

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