日本人の大半が知らない欧米流リーダー育成の肝 多読でディベートを積み重ね問題解決力を磨く

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欧米のグローバルリーダーが身に着けているクリティカル思考法とは?(写真:East & West/PIXTA)
世界的な政治家やCEOなどのリーダーを輩出し、世界一といわれるイギリスのディベート組織「オックスフォード・ユニオン」は、いかにリーダーを育てているのか。
オックスフォード・ユニオンのリーダーシップのはぐくみ方と交渉術をまとめた中谷安男氏の著書『オックスフォード 世界最強のリーダーシップ教室』から一部抜粋、再構成した3回連載の最終回をお届けします。
前回:読書しまくる人とまるで読まない人に生じる大差(2月16日配信)
前々回:日本人がわかってない欧米流リーダー育成の凄み(2月9日配信)

多読、論文執筆、そしてディベート

前回、オックスフォードの看板学科PPEの学生は、600冊以上の専門書を読破してリーダーを目指すというお話をしました。

今や、インターネットやSNSの影響もあり、一般の人の読書量は下がっていると思われます。これは世界共通の課題ですが、オックスフォードなどイギリスの学生の読書量は減りません。つまり近年は読書量の二極化が起こっているようです。

なぜ、今も本を読み続けるのか?

これは、学期末における各科目の試験方法が伝統的に変わらないからです。1科目3時間ほどの試験で、論文を書きます。評価基準は、課題に対して、今までの英知をクリティカルに活用し、自らの新しい知見を示すのです。

大学教員の役割はゲート・キーパーと呼ばれる門番です。彼らは、全ての課題図書の内容を認識し、それに基づいたこれまでの論文を把握しています。つまり、学生が物まねや、誰かの意見を拝借すると、すぐに見破ります。そして、書かれたものが、社会にどれだけ貢献できる新しい発見なのかを判断します。

門番は、学生が過去の知見を十分活用でき、新たな課題に対処できる問題解決能力が備わったと判断すると、実社会への扉を開けるのです。

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