ダニ対策に「ふとんたたき」をする人に欠けた視点 ふとんが早く傷んでダニの侵入が容易になる

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普段やっているダニ対策は本当に効果があるのでしょうか(写真:Graphs/ PIXTA)
ダニ研究50年の著者・髙岡正敏氏が著した書籍『お父さん、お母さんが知っておきたい ダニとアレルギーの話』では、その知見をまとめています。「布団の天日干しで『ダニが死滅』という大きな誤解」では布団の天日干しではダニは死滅しないことを紹介しましたが、乾燥させてダニを増やさないという面では有効のようです。

日光干しでダニは減らせるのか?

ふとんのダニ対策といえば、すぐ思いつくのは日光でふとん干しすることです。私の知り合いで、アレルギーを持つお子さんの親御さんも、ダニ対策としてふとんの日光干しをたんねんにやっていました。

しかし、本当に、日光干しでダニは減らせるのでしょうか。結論から先に言いましょう。ふとんを直射日光に当ててもふとんの中のダニは死にません。ふとんの裏側に逃げていくだけです。でも、ふとん干しでふとんの中の湿度をダニが増殖できないくらい低くすると、ダニは増えません。

ダニは乾燥に弱い。ですから、ふとん干しの目的は、熱でダニを殺すのではなく、乾燥させてダニを増やさないことにあります。私が1988年7月に行ったふとん干しのデータでご説明いたしましょう。

まず人が寝た後のふとんの状態はどうなっているのでしょうか。

就寝時のふとんの温度は30℃くらい、起床時はやや上昇して32℃くらいになっています。このふとんを起床してすぐ日光に干してみます。15時ごろの最高温度は日光に当たる側で37℃くらいでした。ちなみに2日目も日光に干しましたが、38℃くらい。

つまり40℃まで達しないのです。ダニは50℃の温度でも1時間以上生きられます。40℃にも達しない熱では、死ぬことはありません。

次ページダニは熱くなれば、ふとんの中や裏側に逃げる
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