中国製造業「オミクロン・ショック」で景況感悪化 「財新中国製造業PMI」、1月は再び50を割り込む

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2022年1月の財新中国製造業PMIは前月より1.8ポイント低下し、好不況の目安の50を割り込んだ(図表作成:財新)

中国では新型コロナウイルスの局地的流行の反復がやまず、製造業の景況感を悪化させている。2022年1月30日に発表された2022年1月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は49.1と、前月(50.9)より1.8ポイント低下。好不況の判断の目安とされる50を割り込み、2020年3月以降の最低値を記録した。

製造業の1月の事業活動は、供給側と需要側の双方で減速感が強まった。(供給側の指標である)生産指数は拡大基調と縮小基調のボーダーラインを3カ月ぶりに下回り、2021年9月以来の最低値に沈んだ。(需要側の指標である)新規受注指数も拡大基調から縮小基調に転じ、同じく2021年9月以来の最低値だった。

なお、需要側の減速に関しては外需の不振の影響が大きい。1月の新規輸出受注指数は過去20カ月間の最低値を更新した。調査対象企業からは「海外で新型コロナのオミクロン株の感染が急拡大して外需に冷水を浴びせ、販売と生産の縮小を余儀なくされた」との声が多数寄せられた。

経済政策の予見可能性を高める必要

供給と需要の減速は、製造業の雇用のさらなる重しになっている。1月の雇用指数は2020年5月以来の低水準に落ち込み、縮小基調が6カ月連続となった。調査対象企業の大部分は、事業規模の適正化や人件費抑制のために新規採用を減らしている。だが、一部の企業からは「職場の欠員を埋めたくても応募者が集まらない」という声も聞かれた。

2021年を通じて製造業の経営を圧迫したインフレは、2022年1月は相対的に穏やかだった。購買価格指数と工場出荷価格指数はいずれも前月より上昇したが、水準自体は2021年の平均値を大幅に下回った。

本記事は「財新」の提供記事です

「(新型コロナの影響による)需要の縮小、供給の不安定化、(将来に対する)期待の低下が重なり、1月は中国経済への下押し圧力が強まった。今後の経済政策は引き続き安定確保を重視しつつ、市場の不安に素早く対応し、政策の予見可能性を高めるべきだ」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。

(財新記者:程思煒)
※原文の配信は1月30日

財新 Biz&Tech

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