テレ朝「ローカル局再編」の規制緩和を求めた真意 費用軽減でネットワーク維持狙うも課題は山積

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放送業界の構造改革に向けた第一歩となるか(撮影:左写真から梅谷秀司、尾形文繁)

地方局再編の機運が高まるか――。

1月24日、総務省で行われたデジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会で、一際注目を集めた提案があった。テレビ朝日ホールディングスが要望した「県域制度の廃止」だ。

日本では関東・近畿・中京地域など一部を除き、特定地域の情報などに各局の放送内容が偏り、地元の情報が得にくいという状況を防ぐことなどを理由に、各テレビ局の放送免許は単一県に制限されている。

地元県からテレビ局が消える?

この提案は、その県域制限を廃止し、複数地域で同一放送を行えるようにするというものだ。テレビ朝日HDの藤ノ木正哉取締役は「あくまで私たちの系列に関しての報告だが、(本来なくなる可能性のある地方局を)同一化できれば拠点を維持できる可能性もある。柔軟に検討してほしい」と要望した。

これが実現されれば、従来は県ごとにあった地方局が事実上合併し、特定の地域から別地域への放送が可能になる。例えば、より経済規模の大きいA県に本社を置き、放送はそこから行う。そのうえで、テレビ局が合併されたB県、C県には支社を置き、取材機能などは残すといったイメージだ。

多くの地方局は、日本テレビやフジテレビなどキー局を中心とした系列ネットワークに所属する。地方局が自社制作する番組は平均10%程度とされ、放送される番組の大半はキー局が制作するドラマやバラエティなど全国ネット向けのものだ。一方、キー局は一部の地方局の株式を保有しており、各局の系列内における合併を視野に入れている模様だ。

なぜ、キー局は地方局を合併させる施策を視野に入れるのか。その背景には、キー局にとって重要な役割を担う地方局の苦しい台所事情がある。

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