川村元気「だから僕は神様への信仰を物語にした」 「人が信じるものは家族の中でもバラバラだ」

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2021年11月に『神曲』を上梓した川村元気氏(撮影:梅谷秀司)
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作家・川村元気の最新刊『神曲』が上梓されてから2カ月が経つ。『君の名は。』など映画プロデューサーとして次々とヒット作を世に送り出すかたわら、小説家としても5作目となる今作の題材は「神」。わからないものだらけ、信じられないものだらけの時代に、彼が描きたいものは何だったのか。3部に分けて同日公開するインタビューの第1部をお届けする。

いつもより熱く深い感想をたくさんいただいた

──『神曲』が出版されてから約2カ月が経ちました。

物語の中に宗教や神が出てくるのもあって、いつもより熱く深い感想をたくさんいただきました。単に泣きましたとかじゃなくて、読者の人生と深くリンクしたところがあったのかもしれません。なかなか他人には言えないようなことまで、話しづらそうに話してくれる読者も多かったです。

日本は無宗教の国だと言われていますが、今は神様自体が多様化していて、宗教という形だけでなく、占いとか石とか漢方薬とか、さまざまな形で神様の存在がいるんだなと感じました。書き始めたときはニッチなテーマを選んでしまったのかもしれないと思っていたのですが、実はとてもメジャーな題材だったのだと感じているところです。

──約5年前から取材を進めてきたと聞きました。その最中にコロナ禍になったということですが。

もともとコロナ禍の前から、目に見えないものに対する信仰みたいなものが力を増していたと思います。友人でも、有名神社やパワースポットに行くといった人が増えていたし、インターネットでなんでも可視化されている時代に、目に見えないものを信じる人たちの多さ、その矛盾みたいなものが面白いと思って取材を始めていたんです。

コロナ禍になって、そういった現象がどんどん増していっていると感じました。ウイルスがどうだとか、ワクチンがああだとか、都市伝説まがいの話もたくさんありますよね。かつてこれほどまでに、人間の信じる気持ちが失われていったことはなかったのではないかと思います。

次ページ時代の変化とテーマが並走しながら生まれていった物語
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