独特の音がやみつきに、江ノ電「吊り掛け電車」 全国で姿消すが1000形には出会える確率が高い

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鎌倉高校前ー腰越間の住宅沿いを往く江ノ電の1000形電車(写真:K.O/PIXTA)

テレビや映画で電車のシーンが出てくると、鉄道に少々興味のある人なら違和感を覚える「グオーン」という独特の音が、効果音として挿入されているというケースが少なくない。

なぜ違和感を覚えるかというと、今どきの電車は「グオーン」などという音を発しないからだ。この音の発信源をたどると、電車の駆動方式に行き着く。昭和の中頃まで量産、製造された「吊り掛け式」という電車の特有の音なのである。

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特有の音や振動には理由がある

吊り掛け式とは旧式の駆動装置で、簡単に説明すれば電車のモーター(主電動機)の軸と車輪の軸(車軸)とをギアにより直結しているものだ。

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電車は、モーターの回転力が車軸に伝わり、車輪が動く仕組みで、プラモデルのモーターが歯車を介して車などの車輪が動くのと同じ原理だ。ただ、モーターと車軸の歯車が直結すると、振動が発生し、歯車のかみ合わせとともに、色々な音が発生する。

これらの音や振動が、例の「グオーン」につながるわけである。ちなみに現在ほとんどの電車は、カルダン式という方式にシフトしており、台車側に設置された電動機からは、ドライブシャフト(自在継手)によって、車軸に回転力を伝える方式になっている。

このため、振動や共鳴音などは、かなり抑えられているので、「グオーン」が聞こえないのである。2022年1月現在、旧来の路面電車や電気機関車などを除き、通常運用されている吊り掛け式の電車は、鉄道路線では数が少ない。

しかし、数少ない今でも乗れる吊り掛け電車が、江ノ島電鉄1000形シリーズである。その中でも、1201号編成は、日本国内向けの吊り掛け電車で最終製造の部類に入るようだ。

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