新たな国際化戦略に挑む
立命館大学
多文化協働でアジアと世界をリード
より高次元の国際化めざし
世界水準の学究を実現

去る7月8日、立命館大学とオーストラリア国立大学(ANU)が連携・共同に関する覚書を締結した。この覚書に基づき、両校は「共同学士課程」の設立に向けた協議を進める。ANUは、オーストラリア連邦議会法により設立されている唯一の大学である。共同学士課程では、2大学が共同してカリキュラムを開発・運営し、両校の承認のもとで学士号が授与される。海外大学と日本の大学との共同学士課程の設立は、国内初の取り組みだ。
折から訪豪中の安倍首相も、調印式に立ち会っている。安倍首相とアボット首相による共同声明「21世紀のための特別な戦略的パートナーシップ」のなかでも2大学の共同への言及があり、両国の期待の高さがうかがわれるところだ。
長い国際化の歴史
着実な成果を継続

学校法人立命館
国際連携室副室長
立命館大学国際部副部長
産業社会学部教授
ANUとの協働は、立命館大学のグローバルな取り組みを象徴するもののひとつだが、ここに至るまでには長い国際化の歴史と実績がある。「本学では、育成する人材像を“多文化協働できる人材”としています。建学の精神・教学理念に基づいて制定された立命館憲章でも、アジア太平洋地域に位置する日本の学園として、歴史を誠実に見つめ、国際相互理解を通じた多文化共生の学園を確立することを明文化しています。本学国際化戦略の軸となっているものです」と、金山勉教授は同校国際化の背景を説明する。
その取り組みは1980年代からすでに顕著な成果を挙げている。88年には国際関係学部を設置。90年代初めには、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学とのジョイントプログラムや米アメリカン大学とのデュアルディグリープログラムを開設し、多くの修了生を輩出してきた。2000年には立命館アジア太平洋大学(APU)が開学し、09年には立命館大学がグローバル30に採択された。今年、附属高校2校がスーパーグローバルハイスクールに採択されるなど、学園全体での国際化も進む。

学校法人立命館
総合企画部長
「こうした国際化の実現には、教職員が一緒に議論を積み重ねるなど、改革に向けた水面下の時間と手間を多くかけているんです」と明かすのは、総合企画部の木田成也部長だ。時には、若手教員と職員たちが合宿形式で意見を交換することもあるという。
他大学から立命館大学に転じた金山教授は、「変化に合わせてというより、先取りしていく立命館大学のやり方は面白いと感じました」と、率直な感想を漏らす。「学生のために、そして社会のためによりよい環境を整えたいとの方向性を共有して教職員がまい進する姿には、そこに加わらせてほしいと思わせるものがありました。試行錯誤を許容し、チャレンジを止めない校風が大きな力となっていると思います」。