現金潤沢でもあえて住宅ローン組む富裕層の思惑

2億円以上の物件で現金派・ローン派は半々に

住宅価格の上昇を受け、住宅ローンも1億円以上の融資が当たり前になっている(記者撮影)

「外観はちょっと古めかしいですけど、静かで眺望もいいので気に入りました」

高級住宅街として名高い東京・広尾。与野一樹さん(51歳、仮名)は2020年秋に購入した中古マンションに満足げだ。

与野さんは約10年前に脱サラし、LED照明を開発するベンチャーを設立。東日本大震災後の省エネの波に乗って事業を拡大させた。現在現金のほか純金や不動産を所有し、金融資産は時価換算で2ケタ億円をゆうに超える。

以前は東京23区西部に住居を構えていたが、子どもの進学を見据えて教育水準の高い学校に近い都心部への転居を考え始めた。スマートフォンで不動産ポータルサイトを閲覧していたところ、偶然現在のマンションを見つけ、住環境のよさに惹かれて購入を決めた。160平方メートル超の広々とした住戸で、リビングからは東京タワーも見える。

昭和の時代に建てられた、いわゆるヴィンテージマンションだ。築年数こそ経っているが、JR山手線駅から徒歩圏という立地と管理状態のよさも相まって、購入価格は約1億6000万円。与野さんにとっては現金買いも容易な水準だが、半額にあたる8000万円は「あえて」住宅ローンで賄った。

現金一括買いではなくローンを組んだことについて、与野さんは「当然だ」と言わんばかりだ。

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