世界に出て知る日本の魅力を
あらためて発信
立命館大学
異なる背景を持ったメンバーが
チームになって発揮する力は大きい

(2008年 産業社会学部卒業)
カオスパイロット(デンマーク)3回生
大本綾さんが学ぶカオスパイロットは、デンマーク第二の都市、オーフスにあるビジネスデザインスクールだ。名前の通り、混沌としたカオスの世界をリードするパイロットのような人材の養成をめざす。ビジネスにデザイン思考を採り入れ、イノベーションを起こす力やクリエイティビティを磨く学びはユニークで、世界からも注目される存在だ。大本さんはカオスパイロット初の日本人留学生。留学中の経験やそこから感じたことを、ウェブメディアなどを通じて発信している。
大本さんがカオスパイロットを知ったのは、卒業生との出会いからだった。広告会社に入社してグローバル企業の広告宣伝の一翼を担うかたわら、ビル&メリンダ・ゲイツ財団とのパートナーシップによる知の交歓イベントの運営に参加。自身のフィールドを拡大したいと考えていたとき、水先案内人(パイロット)が現れた。「デンマーク出身の女性で、主に途上国の子どもたちの夢をかなえるために活動するプロジェクトを主宰されています。発想力の豊かさと確かな実現力に眼を瞠るばかりでした」。クリエイティビティこそ、大本さんが得たいと切望していたものだった。
かくして彼女も学んだカオスパイロットをめざした大本さんだが、門戸は決して広くはない。各種書類審査にパスした後、二次試験は3日間にわたってデンマークで行われる。様々なタスクが与えられ、最終日にはクライアントの課題に対してグループでプレゼンテーションを制作。上級生がスタッフと共に審査して合格者を決めるしくみだ。大本さんの同期生は、わずか36人である。
学ぶのは起業家精神とリーダーシップ

カリキュラムでは、起業家精神やリーダーシップの醸成を重視。各種法人での実習も含め、実践的な学びが展開される。「ノルウェーの軍隊の訓練方法を取り入れたリーダーシップ研修が、最も印象的」と大本さん。「身体的にも精神的にも追い込まれる状況で、異なる背景を持ったチームメンバーがどの様な役割を果たせば、課題を乗り越えられるのかを考えます。違いをうまく生かせば、新しい力、アイデアが生まれること、そしてその力がたいへん大きいことに気づかされました」。そのなかで、場の空気を読んでまとめる日本的なリーダーシップスタイルも有効かもしれないと感じたともいう。「ファシリテーションに取り入れた書道が好評でした。精神を集中して1枚の紙に向き合う。言葉にする前に、静かに考える時間を十分に持つという体験は、欧米人にはあまりないことだからでしょう」。
最終年を迎えて、大本さんは日本の教育とデンマークの教育の長所を取り入れた、教育プログラム開発に取り組んでいる。「好きなことをめざす。これほど、子どもや学生に力を与えることはありません。『好き』から始まるキャリア教育を考えようと思っています」。プロジェクトを終えたとき、大本さんはどんなステージに立つのだろうか。
「立命館西園寺塾」
~「21世紀の経営哲学/リーダーとの闘論」

詳細は下記HPに随時更新中。
http://www.ritsumei.ac.jp/saionji-juku/