今ここにあるグローバリズムの最前線で
立命館大学
ユンソナさんとの毎日は、
まさに異文化の衝突でした

(2001年 政策科学部卒業)
株式会社ホリプロ マネージメント第一事業部 プロダクション一部グループリーダー
本番直前にして、タレントが楽屋から出てこない―「顔面蒼白ですよね」とふり返る五間岩ゆかさんは、ホリプロで俳優やタレントのマネジメントを担当する。小さな騒動の相手は、ユンソナさんだった。韓国で芸能活動をスタートした後、2000年に来日している。
五間岩さんは、「ソナとの毎日は、まさに異文化の衝突でした」と語る。本番前の小さな抵抗は、その末の出来事だった。ユンソナさんにとって、日本の芸能界は全くの異世界だったようだ。分刻みのスケジュールに加えて、ふるまいや身なりにまで、当然のようにチェックが入る。当初、「ゆかは細かい」「息苦しい」と、繰り返していたそうだ。
五間岩さんにとっても、ユンソナさんには「不思議がいっぱいな存在だった」という。とにかくすぐに直さなければいけないのは、メイクや服装だった。韓国で好まれるそれは、日本とはまるで違う。日本で受け入れられるメイクに修正しようとしたところ、ユンソナさんの涙が止まらなくなってしまった。「彼女の気持ちもわかるんです。異国で働くというのは、たいへんなことですから」と五間岩さんが語るのも、自身が異文化に身を置いた経験があるからだ。
一人の熱狂的ファンが
スターをつくる
東京で短大を卒業後、ラジオ局の情報キャスターになった。持ち前のがんばりと機転があってか、早くから多くの仕事を任されたが、志望していた報道分野のレギュラーは勝ち取れなかった。勉強し直すために向かった地はベトナム。日本語教師の資格を取って当地で教えながら、ベトナム語のレッスンを受ける3年間を過ごしたのだ。

「精神的にも経済的にも自立が出来たので」、立命館大学政策科学部に編入。今度は「なんとしてもトップで卒業する」という誓いを立てた。卒業時には、「ベトナムの文化及び自然遺産データベースの作成」をテーマにした論文が、最優秀賞に輝いた。そんな五間岩さんの次なるステージは、人間の魅力を引き出して輝かせるアーティストプロデュースの世界だった。
こうした経歴を明かしながら、ユンソナさんと徹底的に話し合った。これから、どのようになりたいのか。そのためには何が必要なのか。方向性を共有できれば、実現のために身を粉にして働く。それがマネージャーの仕事だ。ユンソナさんとの信頼関係は深まり、仕事もどんどん増えていった。その後の活躍をご存知の方も多いだろう。
現在の五間岩さんは、マネージャーたちを統括する立場にあるが、タレントたちと徹底的に話し合って信頼関係を構築するスタイルは変わらない。「一人の熱狂的ファンがスターをつくると言われています。私の原点も、そこなんです」と語る笑顔には、ちょっとした自身も垣間見えるようだ。