日本人が「次のGAFA候補を知らない」悲しい理由 投資家が教える「日本は後回し」の破壊的企業

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かつては、国際市場では「日本を狙え」と言われていましたが、悲しいことに、日本はいま後回しです。それよりも、中国で売ったほうがいいということで、テスラも中国に工場を持っています。日本で購入すれば、おそらく中国の工場から運ばれてくるでしょう。日本は、優先的な市場ではなくなっているのです。

その理由の1つに、日本の規制があります。たとえばテスラの自動運転の機能などは、日本国内での認可については制限されているようです。あえて遅らせて、日本に入りづらくしているわけです。

やがて日本にもディスラプションの波はやってくる

しかし、これはただ参入が遅くなるというだけで、いずれ必ず日本にも進出してきます。そのときになって慌てるのではなく、いまから海外の情勢を見極め、先手を打っておく必要があります。

iPhoneを思い出してください。初代の機種は2Gでした。あのときは、各国の2Gの仕様が統一されておらず、規格の合っている地域では、一気に初代機種が発売されていました。日本はその年には出ませんでしたが、3Gで世界共通化されたことで1年のタイムラグを経てやってきたわけです。

ただ、当初は「おサイフケータイ」などの機能がなく、充電も長持ちしないなど制約があり、ヒットにはなりましたが、爆発的に売れたのは3GSになって以降です。

要するに、規格の問題で参入タイミングが左右されています。向こうもそれがわかっていますから、「日本にはこのタイミングでこれを出そう」という計画をしています。

iPhone以前は、ガラケーが世界最先端でしたが、わずか3年でひっくり返されました。車については、買い替え年数が長く、スマートフォンより時間はかかりますが、それでも一巡したとき、それが本当に良いものであれば、一気に取って変わられます。

アメリカ自動車大手GMや日本のホンダが資本参加した自動運転ベンチャーのクルーズは実際、2021年11月の初めから、一部の従業員向けに自動運転での送迎を開始しています。法律上、運賃を徴収してロボットタクシーを走らせるということはできていません。従業員を無料で乗せて、サンフランシスコの街を走っているわけです。

つまり、自動運転は、できる、できないではなく、もうできている。あとは、浸透速度をどうするか、そして、法律など規制の問題です。GMクルーズは、2030年までに100万台を投入すると宣言しています。

アメリカでは今、そういったディスラプター(改革を目指す破壊的企業)が続々と生まれています。自分の業界もいずれ食われるかもしれないという危機感は持ったほうがいいでしょう。

保守的な規制が多いために、逆に損をして、危機に気がつけない。これは非常に怖いことです。「まだ来ないから大丈夫」と思っていたのでは、相手の思うツボでしょう。

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