「従業員の47.1%が女性」Netflixで学ぶ多様性 オリジナルコンテンツの豊富さを見れば納得

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ネットフリックスの多様性はどこから生まれるのか、ブランドリサーチのプロが解説します(写真:metamorworks/PIXTA)
最近「今までのようにモノが売れない」という声をよく聞きます。
価値観が多様化し、SNSが普及した今、マーケティングの最優先事項だった「消費者のニーズ」は見えづらくなり、逆にSNSを通じて企業のふるまいそのものが、消費者から見えるようになりました。かたやSDGsをはじめ、企業には社会的責任も求められています。この複雑な時代に、マーケティングには何ができるのでしょうか?
「今、ニーズよりも重要なのは『企業が消費者に、どこまで未来の安心を約束できるか』ということです」と語るのは、多くの企業のブランド戦略立案やイノベーション・プロジェクトに携わるブランドリサーチのプロ、廣田周作氏。今回は、廣田氏の新刊『世界のマーケターは、いま何を考えているのか?』から、先進的な企業のあり方やマーケティングのヒントを紹介します。

「ダイバーシティ」という言葉は、日本でも使われるようになったので、随分と理解が広がってきていると思います。今回は、ダイバーシティへの取り組みが、「公正さ」の観点だけでなく、「優れたアイデアを生み出す」ことにつながることについて考えていきます。

まず、マーケティングの観点でいえば、世界のマーケット自体の多様化がますます進んでいます。アメリカのマーケットでは、近年はラテン系、アフリカ系、アジア系、あるいはミックスの人たちの人口を足した人口のほうが、白人よりも多くなっています。

アメリカでは、これまでマジョリティだった白人の考え方を押しつけることが通用しなくなってきているのです。中国、インド、アフリカなどの市場も成長していますし、新興国の方が新しい技術の普及が進む、リープフロッグ現象も次々と起きています。

多様なバックグラウンドがあったほうがいい

今や、企業も似た者同士で集まるよりも、いろいろなバックグラウンドを持った人に参加してもらった方がいいわけです。そして、多様な視点を持てることが、優れたマーケティング戦略の立案につながります。つまり、さまざまなバックグラウンドの人たちの「気づき」を取り入れるからこそ、優れたアイデアが出せるようになるのです。

多様性に関して優れている企業の例として、まず思いつくのがネットフリックス(Netflix)です。ネットフリックスは、世界中でサービスを提供しているだけあって、さまざまな国の人たちの反響にとても敏感です。

ネットフリックスのオリジナルコンテンツは、とても多様ですよね。当然のように、ラテン系の人が主人公のドラマも、韓国人が主人公のドラマも、インド人が主人公の映画も、黒人が主人公のドラマも、もちろん日本人が主人公のドラマもあります。

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