北海道の「キハ40」、周遊パスで乗り尽くせるか 残り少なくなった国鉄時代の気動車で冬の旅

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姿を消しつつあるJR北海道のキハ40形気動車(写真:STUDIO EST/PIXTA)

長く続いた緊急事態宣言は2021年10月1日に全面解除され、感染対策は引き続き必要不可欠ではあるものの、旅に出かけられる日々が戻ってきた。

折よく、JR北海道が2020年夏に実施した北海道の補助金活用による「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」の再販を始めた。1万2000円で道内の特急を含めた在来線すべてを利用できるお得なパスである。

私は寒い時期に寒い地域を旅することが好きで、ちょうど北海道への旅行を計画していた。50歳以上の特権である「大人の休日倶楽部パス」の利用を予定していたが、こちらに切り替えた。

今回は、JR北海道でも淘汰が始まった国鉄時代の車両、キハ40形普通列車をできるだけ味わうこと、そして2020年夏に訪れた場所(2020年10月6日付記事「『GoToトラベル』北海道周遊で見た観光の現状」)をなるべく組み込み、その後の状況を知ることを考えて行程を考えた。

北海道でも消えゆく「キハ40」

キハ40形とは、1977年より総数888両が製造された、ローカル線を中心に活躍した車両である。令和の今では大幅に減少し、JR東日本、JR東海ではすでに消滅した。最近、千葉県の小湊鉄道がJR東日本からキハ40の譲渡を受けるなど、人気は根強い。

懐かしさを感じるキハ40の車内(写真:JR北海道提供)

JR北海道でも新型のH100形という電気式気動車への置き換えが始まり、2022年3月のダイヤ改正では、根室本線の新得―釧路間や石北本線などもこの車両になるという。すでに函館本線や室蘭本線でも長万部から北側はこの車両にほぼ切り替わっているし、宗谷本線の旭川―名寄間の大半、石北本線の旭川―上川間の一部でも運用が始まっている。

当然、地元の利用者は新型車両のほうがいいと思う。旅行者の勝手なノスタルジーであることは自覚しているが、国鉄型のボックスシートの旅情はなによりも捨てがたい。映画やドラマでも、頻繁にあのシートが出てくるのを覚えている方もいるだろう。それも、主人公が逃げるように土地を去るシーンに使われることも多いように思う。

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