ジェフ・ベゾス自宅前「ギロチン設置」の深刻背景 金持ちが「共にコロナと闘おう」と宣言する欺瞞

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ビッグテックに支配されたアメリカでは、貧しい人と金持ちの格差が「許容できないレベル」に達しているという(画像:タバタ画房/PIXTA)
GAFAの強さの秘密を明かし、その危険性を警告した書籍『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』は日本だけで15万部のベストセラーになり、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019 総合第1位」「ビジネス書大賞2019 読者賞」の2冠を達成、日本にGAFAという言葉を定着させた。
その著者スコット・ギャロウェイ教授の最新作『GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略』が刊行され、発売3日で6万部のベストセラーになっている。本書では、コロナ禍でますます肥大化したGAFAとこの4社に匹敵する権威を持つようになる「+X」の巨大テック企業が再び、世界をどのように創り変えていくかを予言している。
ここでは本書を再編集し、アメリカが抱える「ビッグテックによる支配」がどれほどの問題をはらんでいるかを紹介する。

2020年6月、マンハッタンのジェフ・ベゾスの家の前に抗議デモ隊がギロチンを設置した。なぜか。この背景を読み解くには、アメリカにはびこる「縁故主義」を知る必要がある。

権力者と金持ちは「夕食会」で仲良くなる

政府がコロナ禍に対する経済的支援に乗り出したとき、誰が最初に施しを受けるか予想がつくだろうか。最も大きな政治権力を持つ人々――すなわち金持ちである。

『GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略』は、発売3日で6万部のベストセラーになっている(書影をクリックするとアマゾンのページにジャンプします)

ロビイスト、弁護士、広報担当者がそのお先棒を担いでいることは間違いないが、本当の理由は別にある。それは、さらに狡猾で油断のならないもの、つまり縁故主義だ。

ここで言う「縁故主義」とは何か。

私はテック企業の幹部を批判する記事を書くことが多いが、その当事者に会うのはほとんど断っている。1つには自分は内向的で、初対面の人に会うのがつらいからだ。もう1つは、直接会うことで親近感が生まれるのを恐れているからだ。

誰かに会うと、1人の人間としてその人を好きになったり、共感したりする。するとその人たちの行為を客観的に見られなくなる。成功した企業の上級幹部たちはとても頭がよくて、興味深い仕事に関わり、内部情報に通じている。人付き合いのうまさで、その地位についている部分もある。

そういう人に会えば、好きになる可能性が高い。だから私は会わないようにしている。

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