USJが低迷→驚異的復活を遂げた最も重要な本質 最も困難なのは計画の策定や商圏の分析ではない

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「顧客軽視」の罠と、マーケター森岡毅氏の戦略とは?(写真は2019年、撮影:今井康一)
今は一流の企業でも、大きな危機に直面し、それを乗り越えてきた過去がある。社史研究家で日米20社の「危機の乗り越え方」事例を分析した『20社のV字回復でわかる「危機の乗り越え方」図鑑』の著書のある杉浦泰氏が、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが直面した危機と、その乗り越え方を解説します。(本稿は杉浦泰著『20社のV字回復でわかる「危機の乗り越え方」図鑑』の一部を抜粋・再編集したものです。参考文献は本書に掲載)
(出所)『20社のV字回復でわかる「危機の乗り越え方」図鑑』(日経BP)

実は経営難だった!? USJの「低迷」

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(商号はユー・エス・ジェイ。以下、USJと表記)は、日本を代表するテーマパークの1つです。年間入場者数は2017年の時点で約1400万人(2017年度以降、USJは年間入場者数の開示を中止しているため、2016年度の入場者数を表記)を誇り、東京ディズニーリゾートの年間約3000万人の入場者数に次ぐ地位を確保しています。テーマパーク業界では、年間1000万人を超える入場者数を誇るUSJと東京ディズニーリゾートが、日本のテーマパークの双璧をなす存在といってよいでしょう。

読者の方でも、USJに訪れたことのある方は、多いのではないでしょうか。

ところが、USJの長期業績を繙くと、一筋縄で「成長」し続けたわけではないことがわかります。公表されている年間入場者数の推移のデータを見ると、開業した2001年は年間約1000万人の入場者数を確保しており、出だしは順調であることがわかりますが、2001年から2010年にかけての入場者数は右肩下がりに減り続け、2010年度は約750万人という厳しい状況であったことがわかります。

2000年代前半のUSJは、いったい何が原因で、年間入場者数の低迷に直面したのでしょうか? その本質的な原因を、USJの成り立ちの歴史とともに掘り下げます。

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