「GAFAを敵視する人」に欠けている未来的な思考 25年後にGAFAが残っているか考えてみよう

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アマゾンは25年後、残っているだろうか(写真:Chris Ratcliffe/Bloomberg)
世界におけるGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)の影響力が強まる中、一部で規制強化を求める動きが強まっている。だが、WIRED誌創刊編集長で、テクノロジー界の思想家的存在であるケヴィン・ケリー氏は、「規制はむしろ逆効果」と論じる。その理由を同氏の新著『5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れる』から一部抜粋して紹介する。

アマゾンも来世紀には消えるかもしれない

アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスは、「いつかアマゾンは潰れる」と言っています。GAFAは25年ぐらいで代替わりし、いまほどの勢いはなくなってトップの座にはいなくなる。ただし、いなくなるには100年はかかるでしょう。破産して買われたものの、シアーズ(アメリカの百貨店)さえもまだなくなっていません。20年ほど前にすでにトップではなくなりましたがずっと残っていました。

ですから、アマゾンも20年後も存在し続けると思いますが、来世紀までには消えるかもしれません。非常に大きい会社なので、サーバーの部分だけなど一部は残ると思いますが。

フェイスブック(現在はメタ)はたった1つの実体しかないので、その地位は危ういでしょうね。グーグルはあまりに普及していて、消えるとは思えません。しかしグーグルの現在の検索機能は残っても、ARでの検索は別の企業が担うかもしれません。ともかく1代か2代のうちには、GAFAの地位は変わるでしょう。

アマゾンを除く3社は多くの従業員を雇っていません。そうした会社は社員1人当たりの収入は高く、その状態が続くでしょうし、成長もしていくでしょう。GE(ゼネラルエレクトリック:アメリカの大手電機メーカー)のように雇用を生み出すのは、大会社の義務でありいいことだと言う人もいるでしょうが、私は逆だと思います。必要以上に増やす必要はありません。

チャンスはどこにでもあり、さまざまな雇用形態がありうるので、1社で多くの従業員を抱えるのは得策だとは思えません。人が多いと企業文化を変化させるのが難しくなるし、1人当たりの利益率は下がっていくでしょうから、従業員を減らすのはいい話だと考えます。

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