打倒スマホ!ソニーが動画用カメラで挑む新境地

デジカメ市場が縮小する中で、生き残りを模索

ソニーのVlog撮影用のカメラ。最新機種の「ZV-E10」はレンズが交換でき、撮影の幅を広げることができる(撮影:梅谷秀司)

「今まではiPhoneでVlogの撮影をしていたが、手軽にクオリティーが高い動画を作りたいと思い、Vlog撮影専用のカメラを購入した」。

そう語るのはコロナ禍での外出自粛をきっかけに、動画撮影を始めた若手ユーチューバーだ。日々の何気ない1コマや、その日のファッション、商品のレビューなどをYouTube上にアップしている。

このような日常を記録した動画は「Vlog(ブイログ)」と呼ばれ、若者を中心に人気を集めている。そこに目をつけたのが、ソニーだ。2020年6月にVlog撮影に特化した、コンパクトデジタルカメラ「ZV-1」を投入し、翌年9月にはミラーレスの「ZV-E10」を発売。冒頭のユーチューバーもソニーのVlog用カメラを購入した。「小型軽量で持ち運びがしやすいし、動画撮影向けの機能が充実している点に惹かれた」と話す。

YouTubeなど動画配信プラットフォームへの投稿や視聴が増えるにつれ、動画撮影に適したカメラの需要は高まっている。調査会社BCNによると、2021年9~11月の3カ月間、ZV-E10はミラーレス一眼の月間実売数ランキングでトップ3にランクインし続けた。家電量販店大手ビックカメラの社員も「ソニーのVlog用カメラを『指名買い』する若者が急増している」と話す。

動画撮影に長年取り組んできたソニー

Vlog用カメラの投入の経緯について、同社のイメージングプロダクツ&ソリューションズ事業本部カメラ第一事業部の太田和也ゼネラルマネージャーは「いままでデジカメを触ったことがない若者でも、動画を入口にデジカメに触ってもらえるのではないかと考えた」と語る。

動画撮影をきっかけに、デジカメに興味を持ってもらいたいと語る太田氏(撮影:梅谷秀司)

ソニーは1981年にスチルビデオカメラ「マビカ」を試作するなど、動画撮影機材の開発に長年取り組んできた。「ハンディカム」をはじめ、ミラーレス一眼「α」シリーズでも8K動画に対応したモデルを投入するなど、動画撮影では一日の長がある。

一方で、スマートフォンでの動画撮影に慣れている若年層には、ピントの合う範囲を決める「絞り値」など、難しい操作は馴染まない。「α」シリーズなどで培ってきた従来技術を生かしながらも、Vlog撮影用にどんな機能を盛り込んだほうがいいのか、何度も議論を重ねた。そのうえで、小じわやシミなどの肌トラブルを目立たなくすることができる美肌機能や、ボタンを押すだけで商品にカメラのフォーカスを当てることができる商品レビュー用設定など、Vlog撮影に適した機能を搭載した。

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