ほころび続々「維新」衆院選で大躍進も不安な内情 松井代表は約30人で2時間以上の会食が発覚

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非議員で代表を務める松井一郎・大阪市長(写真:Issei Kato/Bloomberg)

先の衆院選で大躍進した日本維新の会が、自民・公明による巨大与党と野党第1党の立憲民主に割って入る形で、国会運営を揺さぶっている。全国規模の国政政党への脱皮をアピールする狙いからで、自民、立憲両党も戦々恐々の対応だ。

ただ、国会第3党となった維新のトップについては、11月末の臨時党大会で、すでに2023年4月の大阪市長任期満了での政界引退を表明している松井一郎代表の続投が決まった。「後継者不在」が理由だが、本家は地域政党「大阪維新の会」という特殊な構造で「全国的国政政党への限界を露呈した」(自民幹部)と揶揄されている。

そもそも中央政界で「維新」と呼ばれる政党は、松井氏と大阪維新代表の吉村洋文大阪府知事の「非議員の大阪コンビ」が2枚看板だ。国会議員のトップは馬場伸幸共同代表だが、国会運営も含めて松井代表が最高指揮官となっている。

先の衆院選での各種党首討論でも松井氏が各党党首と対峙し、各小選挙区での公認候補の選挙応援も松井、吉村両氏が党の顔として全国を駆け巡った。その結果、公認候補は大阪では完勝したが、ほかの都道府県では比例復活が精一杯で、全国制覇への足掛かりはつかめなかった。

大差での「代表選見送り」に松井氏も苦笑い

松井代表は続投決定を受けて、いわゆる「東京組」も重用した新体制を決めたが、松井、吉村両氏を中心とした大阪主導での党運営は維持する方針。衆院選前後に急上昇して立憲民主を上回った政党支持率も、ここにきて頭打ちとなり、次期参院選での党勢拡大にも暗雲が垂れ込める。

松井氏は参院選後に改めて代表選実施を提起する構えだが、現状では後継者不在は解消されそうもない。参院選を自民・公明の連立与党が制すれば、次期衆院選は3年以上先と見込まれるだけに、それまでに本格的国政政党に脱皮することは極めて困難とみられている。

日本維新の会が臨時党大会で松井代表の続投を圧倒的多数で決めたのは11月27日。立憲民主代表選の最終盤だっただけに、各メディアも多くが短信での報道にとどめた。

期限付きでの政界引退を表明している松井氏は、臨時党大会で新たな代表を決めるための代表選実施決定を提起していたが、後継者の本命だった吉村氏が代表就任を固辞し、「やむをえない続投」となったのが実態だ。

臨時党大会では国会議員や地方議員ら「特別党員」514人による電子投票が実施されたが、結果はダブルスコア以上の大差で「代表選見送り」が決まった。じっと目をつぶって投票を見守った松井氏は、続投が決まると首をかしげて苦笑していた。

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