帝人「注力事業」黒字化未達でも手応えの根拠

鈴木社長「アメリカでの戦闘態勢は整っている」

鈴木社長は事業状況の見通しは悪くないとして「株式市場からアンダーエスティメイト(過小評価)されているという気持ちが強い。非常に忸怩たる思いがある」と話す(撮影:尾形文繁)
化学業界ではコロナ禍からの需要回復に伴い、原燃料価格などが高騰。業界では恩恵があった側、痛手を受けた側と明暗が分かれた。帝人は後者で、同社のケミカル系の事業の回復は緩やかだ。ただ鈴木純社長はそうした中でも、これまで打ってきた布石に「手応えがある」と語る。これからの展望を聞いた。

 

――足元の事業状況をどう見ていますか。

私たちが所属している業界は、大きく言えばケミカル系(マテリアル事業)、製薬系(ヘルスケア事業)、それからIT(電子コミック事業=上場子会社が「めちゃコミック」を運営)だ。2020年は、ヘルスケアは割と堅調で、ITは巣ごもり需要で伸びた。一方で、ケミカルの落ち込みがひどかった。

化学業界では、前年からの反動も含め2021年には需要が戻り、その結果ものすごい勢いで原材料費が高騰している。その恩恵を受けている企業も多い。

ただ、私たちは(汎用石化製品などをつくる企業の様に)最初のほう(比較的、川上寄り)から素材を提供する側ではなく、むしろそういう原料を買っている側なので、コストアップの影響を大きく受けてしまっているのが現実だ。その結果、化学の業界の中で見ると戻りが悪いように見えるかもしれない。

買収してから5年弱が経過

――マテリアル事業のなかでも、自動車向け複合成形材料に力を入れています。その中核で、北米最大の複合成形材料メーカーのコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス社(現在は新会社のテイジン・オートモーティブ・テクノロジーズに統合)を買収してから5年弱が経ちましたが、成果や手応えはいかがですか。

のれん償却後だとなかなか黒字化が達成できていないが、トップラインが伸びている。これが非常に重要だ。

デジタル特集「トップが語る大予測2022年」では各界を代表する経営者のインタビューを配信しています。

事業環境で今あえいでいるのは原材料の高騰、半導体不足による自動車生産量そのものの減少、そしてアメリカの労働力不足の3つ。ただ、原材料価格が高騰する中、トップラインが拡大したことで狙い通り(顧客に価格転嫁する)価格交渉力がついてきた。自動車メーカーにはこちらをプレス屋だと思っている人たちもいて、価格が安いところに行こうとする。だが、トップライン拡大でプレゼンスが高まった今、こちらの言い値での優良案件が多く取れるようになっている。そうした手応えがある。

人手不足に対しては、自動化がだいぶ進んできている。新工場はもちろん、既存工場でも自動化を進めている。アメリカでの戦闘態勢は整ってきており、これから数年間、よくなっていく絵が大体見えている。あとは欧州や中国をどう伸ばしていけるかだ。

――炭素繊維の航空機向けは、需要の回復にまだまだ時間がかかりますが、足元では新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」も出てきました。>>インタビューの続きはこちら

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