予定調和「立憲新代表」の船出が厳しさしかない訳 代表選出馬の3氏を要職に配し、挙党体制アピール

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衆院選敗北での枝野前代表の引責辞任を受けた立憲民主党代表選には泉、逢坂両氏に加え、小川淳也(50)、西村智奈美(54)の計4氏が立候補し、12日間の選挙運動を経て11月30日午後、都内のホテルで開いた臨時党大会で投開票された。

代表選は自民党総裁選を模したもので、国会議員(140人)各2ポイント、国政選挙公認予定者(6人)各1ポイント、その合計と同じポイントを地方議員と党員・協力党員の投票(郵送など)に付与し、合計572ポイントを各候補が奪い合う仕組み。

自民の向こうを張って「フルスペック」で実施された今回代表選は、自民総裁選と同様に予想どおり1回目では決着がつかず、国会議員中心の決選投票で泉氏が圧勝した。

投開票の結果は以下のとおりだ(数字はポイント)。

【1回目】

   逢坂氏   小川氏   泉氏   西村氏 
党員・協力党員 38 34 47 24
地方議員 48 27 46 22
国家議員と公認予定者 62 72 96 56
合計 148 133 189 102


【決選投票】

   逢坂氏   泉氏 
国会議員と公認予定者 116 170
都道府県連代議員 12 35
合計 128 205

今回代表選は一部で「大混戦で投票箱のふたを開けるまで結果がわからない」(立憲幹部)とはやし立てられたが、多くのメディアが早くから国会議員票で明らかに優位な泉氏が1回戦でトップとなるが過半数には届かないと予測。誰が2位で決選投票に残るかで見方が分かれていたのが実態だ。

安定感のある逢坂氏が小川氏に競り勝った

自らを主人公としたドキュメンタリー映画のヒットで、候補者の中では国民的知名度が高かった小川氏と、党内のリベラル勢力代表格の逢坂氏の激しい2位争いとの見立てだった。結果もそのとおりで、地方議員では逢坂氏、国会議員では小川氏がより多くポイントを獲得したが、安定感がある逢坂氏が15ポイント差で競り勝った。

これは、国会議員の投票前直前に発表された「地方票」で、劣勢とみられていた逢坂氏が小川氏を4ポイント上回ったことが、「議員票での逢坂氏の上積みにつながった」(立憲幹部)とみられている。ただ、その時点では「2、3、4位連合でリベラル系の3氏の票がまとまれば、唯一の保守中道路線の泉氏の当選は危うくなる」(同)とのざわめきもあった。

しかし、決選投票では国会議員・公認予定者と都道府県連代議員の双方で泉氏が圧倒し、逢坂氏を大差で退けた。これは、枝野路線継承の印象が強い逢坂氏では「党再生への刷新感がない」(同)との共通認識からとみられている。このため、「経緯と結果をみる限り初めから決まっていた予定調和の結末」(立憲若手)と揶揄されるのだ。

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