日経平均が年内3万1000円に上昇しても驚かない 外国人投資家は重大な事実を見逃している

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米インド太平洋軍司令官と会談する岸田首相。外国人投資家が「過小評価」をしていることとは何か(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

今後の日経平均株価を占ううえで注目していた10月31日の衆議院選挙は、与党の自由民主党が単独で絶対安定多数の261議席を確保。議席数では岸田文雄首相にとって圧倒的な勝利となった。私は驚いていないが、事前のマスコミ報道やマーケット予想を大きく上回る結果となったのはサプライズだったようだ。

もちろん、日経平均株価は大きく上昇した。選挙直前(10月29日)の2万8892円(終値)に対して、選挙翌日の11月1日の大引けは754円高(2.6%高)の2万9647円まで買われたのだ。株価は素直に選挙結果を反映したものとなった。

選挙後、株価の上昇は完全に終了したのか?

だが、その後は4日の2万9794円で目先ピークとなり、10日の2万9106円まで調整してしまった。この動きを見て「日本株の戻りが鈍い」という見方が多いようだが、私はそれは言いすぎではないかと考えている。

なぜなら、日経平均株価と連動している(高安のタイミングが似ている)NASDAQ総合株価指数も11月8日にピークを打ち、株価がいったん調整したからだ。日本株は「世界の景気敏感株」といわれ、アメリカの株式動向に影響を受けやすい。自民党の大勝をすべて株価が織り込んだわけではなく、まだ上昇余地は残っているとみている。

日本株に影響を与える海外投資家の動向も、衆院選直後(11月1~5日)は+367億円(現物+1454億円、先物-1087億円)と、わずかながら買い越しに転じた。直近11月18日に発表された11月8~12日の海外投資家は、現物(-373億円)売り越し、先物(+3151億円)買い越しで2万9700円を超えたのは、海外投資家の先物買いによるところが大きかったといえる。今後、12月中旬にかけて買い越し基調が定着する可能性もありそうだ。

政府は11月19日に新たな経済対策を閣議決定。地方負担分や財政投融資を加えた財政支出は55.7兆円で、過去最大だった2020年4月の経済対策(48.4兆円)を上回る規模となった。新型コロナ対策費のほか、家計や企業向けの給付金が膨らんだためだ。

今後は12月上旬に臨時国会が召集され、同月中旬に2021年度の補正予算が成立する運びだ。現在のところ、報道では経済対策の中身については、成長より分配が重視されているため、株式市場の評価は残念ながら低いようだ。ただし、経済対策で恩恵を受ける一部の業種や企業は短期的に注目される可能性が高く、全体でも下落よりも上昇するほうの可能性が高いとみる。

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