東武佐野線、「長すぎるホーム」が語る栄光の過去 随所に貨物輸送の面影、現在は通学の強い味方

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東武佐野線の終点、葛生駅。長いホームに停まっているのは2両編成の電車(撮影:鼠入昌史)
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東武の電車に乗って北にゆく。「スカイツリーライン」と呼ばれる東京に近い区間では、車窓からびっしりと住宅地が広がっているのが見える。久喜駅で電車を乗り継ぐと少しずつ田園地帯の割合が増えてきて、“北関東”らしい風景へと移り変わってゆく。そうして約1時間半ほど経ったところで到着するのが館林駅だ。

館林駅は、東武鉄道における北関東における交通の要衝である。1つはまだまだ先に進んで伊勢崎駅を目指す伊勢崎線。1つは、ブラジルタウン・小泉を目指す小泉線。そして、東武佐野線が分かれている。館林駅を起点に途中佐野駅でJR両毛線と接続、さらに北に延びて葛生駅を終点とする路線だ。今回の主役は、この東武佐野線である。

ベテラン社員が語る佐野線

「ローカル線はどこでもそうだと思いますが、佐野線もお客さまは学生さんが中心ですね。佐野市内には佐野日大高校という学生さんの人数の多い高校がありますし、ほかには公立高校もいくつもあるし、終点の葛生駅の近くにも青藍泰斗高校という私立高校がある。朝の通学時間帯には2両編成の電車が大いににぎわいます」

丸山直哉館林駅管区長(右)と福澤義勝東武佐野駅長(撮影:鼠入昌史)

こう話してくれたのは、館林駅管区東武佐野駅長の福澤義勝さん。東武鉄道に入社後、野田線で駅係員や乗務員として働いたのちに長い本社勤務を経て今年の秋に佐野駅長として赴任した。

「北関東での勤務は初めてなんですが、実は妻の実家が佐野にありまして。だから佐野には比較的馴染みがあるんです。佐野はご存じ佐野ラーメンやいもフライ、アウトレットにさのまるくん、佐野厄除け大師もある。名物には恵まれているところですね」(福澤さん)

佐野駅は館林駅を除く佐野線全駅の中で最も利用者数の多い駅だ。JR両毛線との乗り換えのみならず、観光需要もあるということだろうか。

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