数字にだまされる人と裏の本質を見抜く人の大差 「ロジカルなつもり」で非論理的という残念な思考

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考えるタイプの人ほど気をつけたい(写真:Graphs/PIXTA)
論理立てて考えたつもりがまったくロジカルでなく、仮説がずれたり、飛躍した結論を導いたりしていたとしたら?
オランダのニュースサイト「De Correspondent」で数字特派員を務めるサンヌ・ブラウ氏の著書『The Number Bias 数字を見たときにぜひ考えてほしいこと』より、論理的なつもりで間違えやすい4つの「ロジカルなつもり」パターンを取り上げます。
① 都合のいい「理屈」を創作

理性のみで判断したつもりでも、私たちの解釈には必ずといっていいほど「直感」や「感情」が混ざります。客観的に判断したつもりでも、自分の「思い込み」が入っているかもしれません。

人間には、無意識のうちに「自分のアイデンティティ」を守る心理が働きます。そのため、客観的な判断を求められる場合でも、自分の思い込みや帰属に寄せて、都合のいい「理屈」を頭の中で組み立てようとしがちです。いわば、自己正当化のためにそれっぽい「論理」を作り、自分を納得させるのです。

私たちの脳はまるでやり手の弁護士のような存在。事実が何を告げていても、自分の思い込みを守る理屈をいくらでもひねり出します。自分の主張に都合のいい情報ばかりを裏づけとして集める「確証バイアス」はその一例です。正しい解釈ではなく、「正しく感じる解釈」を人は選ぶのです。

主観から離れるには?

モノゴトを正しく理解する第一歩は、自分の心理を自覚することです。数字やデータ、情報に触れたとき、自分に「私は何を感じているか?」と尋ねて自分の感情を確認する習慣をつければ、偏見から距離を置くことができます。

また、意図的に自分の考えと反対の情報に触れようとする人も、偏見にとらわれにくい傾向があります。経済学者ティム・ハーフォードが言うように「もう1回クリックする」精神で違った角度の情報に目を向けることで、都合の良い情報で目を曇らせるリスクを下げることができるのです。

次ページ「根拠の背景」に気をつけなければ現実を見誤る
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