「在宅死」を怖がる人が意外にも誤解している事実 警察沙汰にならないし不動産の価値も下がらない

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在宅死について間違った認識を持っている人は少なくありません(写真:mits/PIXTA)
「自宅で亡くなると、警察沙汰になる?」「不動産の価値が下がる?」「救急車は呼ぶべき、呼ばないべき?」――在宅死をめぐっては数々の誤解や疑問が世にあふれています。
人生の最終段階を自宅で過ごすための方法をまとめた『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』より、「在宅死にまつわるありがちな誤解」について専門家への取材に基づき医療ライターの横井かずえ氏が解説します。

在宅死でも不動産の価値は「下がらない」

在宅死にまつわるよくある誤解に「自宅で亡くなると不審死扱いになって、警察沙汰になったり検死が必要になる」というものがあります。しかし、実際にはそのような心配は不要です。普段から継続して診察してもらっているかかりつけ医に死亡診断書を書いてもらえば、在宅で亡くなっても不審死にはなりません。亡くなった場所が病院でなくて在宅でも、医師は死亡診断書を書くことができます。

また、死亡診断書を書いてもらうのは、必ずしも訪問診療を契約している医師でなくても、外来で診てもらっているかかりつけ医でも大丈夫なことを意外に知らない方は多いです。訪問診療の契約がなくても、医師は単発での訪問ができるからです。

ただし、外来のかかりつけ医が何らかの理由でいざというときに来られないことも考えられます。非常勤で週に数日だけその病院へ来ていたり、あるいは遠方から通っていたりすることもあるからです。

こうした心配を解決するには、ある程度の年齢になったら「先生、自分にもしものことがあったら対応してもらえますか?」と確認しておくのもひとつの方法です。もしかかりつけ医がまったく往診に対応していない場合は、対応している医師を紹介してくれるはずです。

また「自宅で亡くなると、自宅の不動産価値が下がってしまう」と心配する人もいますが、それも誤解です。死亡診断書があれば孤独死にはなりません。つまり不審死として検死が必要になって、ご遺体が検死解剖されるなどのトラブルにはなりにくいのです。そのためいわゆる事故物件として、不動産の価値が下がることにはなりません。

次ページ家族が救急車を呼んでしまい、在宅死が叶わないケースも
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