日本人に大災害より確実に「人生大転機」が来る訳 「震災復興とライフシフト」で考えるレール人生

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コロナ後の社会を生きていくために個々人が自分に何を問いかけ、どんなアクションを行うべきか……(写真:Ushico/PIXTA)
2016年に世界各国で翻訳され、日本でもシリーズ50万部のベストセラーとなった『ライフ・シフト』。その続編が刊行された。
前作では、2007年生まれの日本人の50%が107歳まで生きると推測。ロボットとAI技術の進展により、多くの労働者が代替される現実を示した。そのうえで、生産性資産、活力資産、変身資産という3つの資産への投資が、人生100年時代に必要だと説いた。
続編となる本作『LIFE SHIFT2(ライフ・シフト2):100年時代の行動戦略』では「100年時代の行動戦略」と副題にあるように、個々人が自分に何を問いかけ、どんなアクションを行うべきかを示している。コロナ後の社会を生き抜くために、必読といえる一冊だ。アンドリューとリンダが示した、行動に向けて必要な3つのキーワードを説明していきたい。

キーワード1 「物語」 なぜ次のキャリアを考え続けるのか

学校で教育をうけ、就職して仕事を続け、やがて引退する。そうしたレール(=他人の物語)に乗った人生ではなく、時代に合わせて自分の物語をつくり続けることを本書は勧める。

『LIFE SHIFT2(ライフ・シフト2):100年時代の行動戦略』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

高齢化によって、1つの仕事だけで人生を終えるのではなく、かけもちをしたり変えたりしながらいくつもの仕事を担う必要が生じているからだ。目の前の仕事に集中しながらも、自分の物語を意識し、次のキャリアの可能性を常に考え続けていく。

自分の物語を見出すうえで、考えるべきことを2つあげている。

1つ目は、時間である。人はお金や時間がないと、目の前のことしか考えられなくなる(トンネリングという)。まず、時間の余裕(冗長性)をもつこと。そのうえで自分を、時代と社会の中で位置づけながら、物語を見つけていく。

2つ目は、仕事である。ロボットとAIに奪われない仕事には特徴がある。非定形業務か。人間と関わる業務か。自動化のコストが大きすぎる業務か。自分の仕事が奪われない仕事かを考え、また副業やボランティアを通じて、AIに置き換えられない業務を経験していく。

私は東日本大震災からの復興のために、福島への移住を進める組織の責任者も務めている。移住はまさに、自分の物語を持つからこそ実現できる。そして、目の前の生活に距離を置き、別の地域に思いをよせ、移住先で長く続けられる仕事を見つける必要がある。

次ページ人口減少が進む地方にこそ残る仕事がある
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