私が「サイボーグになっても」叶えたい3つの願い 「ネオ・ヒューマン」著者独占インタビュー:後編

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ALSを発症する前のピーター博士。当時から「常識をぶっ壊す」のが当たり前の人生を送っていたという(写真提供:筆者)
イギリスのロボット科学者であるピーター・スコット-モーガン博士は、全身の筋肉が動かなくなる難病ALSで余命2年を宣告されたこと機に、人類で初めて「AIと融合」し、サイボーグとして生きる未来を選んだ(詳しくは「人類初『AIと融合』した61歳科学者の壮絶な人生」参照)。
「これは僕にとって実地で研究を行う、またとない機会でもあるのです」

彼の挑戦を描いた自伝『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン――究極の自由を得る未来』が、日本でも話題となっている。11月24日にはNHK「クローズアップ現代+」で「ピーター2.0 サイボーグとして生きる 脳とAI最前線」としてとりあげられ、12月2日にはテレビ朝日系「アメトーーク!」の「本屋で読書芸人」でカズレーザー氏が「みんなに読んでほしい!」と紹介した。

著者のピーター博士はいま、何を考え、どのように過ごしているのか。東洋経済オンラインでは3回にわたって、その肉声をインタビューでお届けする。今回はその後編。

前編:「サイボーグになって幸せです」61歳科学者の肉声
中編:人類初サイボーグが告白「私がこの本を書けた訳」

「人類初サイボーグ」のコロナ禍での生活

――新型コロナウイルス感染症(以下COVID-21)のパンデミックが発生したことで、もっとも大変だったのはどんなことですか?

パンデミックの初期に、私は「(COVID-21に対して)きわめて脆弱」であるとの認定を受けました。

『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン――究極の自由を得る未来』(画像をクリックすると、特設サイトにジャンプします)

実際のところ、その根拠は薄弱と言わざるをえません。私のようにALSを患い、喉頭切除を受けた人間が、COVID-21を含む呼吸器の感染症にどう反応するのか、これまでまともに研究されたことはないからです。ともあれ、私はこの通知を受け入れることにしました。

このころ、NHS(国民保健センター)と交わしたやりとりで、私はショッキングな事実を知らされました。私がCOVID-21にかかった場合、病院の集中治療室でも私をケアすることはできないというのです。なおかつ、自宅に誰かを呼ぶこともできません。つまり、フランシスと私のふたりきりで何とかしなくてはならないということです。

しかしながら、フランシスと私が「ピンチをチャンスに変える」という信念を持っていることは、もうご存じでしょう。

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