「椿山荘は売らない」藤田観光社長が覚悟する茨道

GoToトラベルは劇薬、慣れてしまうと本末転倒

本拠地の椿山荘は山県有朋が私財を投じて庭園と邸宅を造った歴史を持つ(写真:藤田観光)
「ホテル椿山荘東京」などを運営する藤田観光は、コロナ禍で主力のビジネスホテルをはじめ、全事業が急激に落ち込んだ。債務超過寸前となり、早期退職や大阪の宴会場「太閤園」の売却など、身を削る対策を重ねてきた。
だが、資金確保を進め、箱根リゾートの開発プロジェクトも再始動するなど、反転攻勢に出つつある。伊勢宜弘社長はコロナ禍をどう切り抜け、成長路線に回帰しようと考えているのか。

直面した債務超過転落の危機

――早期から資金調達など財務の対策を余儀なくされました。

2020年4月に12の銀行から約200億円を借り入れ、資金繰りには何とか手を打った。だが、12月末にも債務超過に転落する可能性があった。上場会社だと、一度でも債務超過になると投資家、利用者の方に不安を与えてしまう。それは絶対回避しようとやってきた。

Go Toトラベル効果もあって12月末は免れたが、2021年1~3月は結婚式、宿泊とも客が少ない時期で、海外客も来られない。3月末には債務超過に転落する可能性が再び出てきた。そこで、いろいろな得意先や取引先に増資の件をお願いして回った。

だが、金額的に間に合わなかったため、やむなく大阪の宴会場である太閤園を売却することになった。その後も、資本を充実させなければ次に何かを進めることも難しくなるので、日本政策投資銀行の飲食・宿泊業支援ファンドに優先株を発行し、150億円を調達した。第一に考えたのは既存株主の権利で、希薄化させないこと。投資ファンドによる出資は後で希薄化が生じる。それはなんとか回避したいと思っていた。

――太閤園は332億円の売却益となり、財務の改善に大幅に貢献しました。取引としてはどう評価していますか。また、椿山荘を売却する可能性はあったのでしょうか。

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名門ホテルが危機に直面「切迫財務」の内幕

椿山荘が「結婚式の安売り」を猛省した理由

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