GMが中国で次世代「電池モジュール」の生産開始 2025年までに10車種以上のEVやPHVを投入へ

✎ 1〜 ✎ 681 ✎ 682 ✎ 683 ✎ 最新
拡大
縮小
GMは中国で現地生産を始めた次世代電池モジュールを、2022年に発売する高級EV「キャデラック・リリック」に搭載する(写真は合弁会社の上海GMのウェブサイトより)

アメリカのゼネラル・モーターズ(GM)は10月15日、中国の上海汽車集団との合弁会社である上汽通用汽車(上海GM)が上海市浦東新区に建設した新工場で、電気自動車(EV)用の次世代電池モジュール「アルティアム」の現地生産を開始した。

アルティアムはGMが新開発したEVプラットフォームの総称で、電池モジュールやパワートレーンなど構成要素の呼び名にも使われる。新工場で生産する電池モジュールは、2022年に中国市場で発売する高級EV「キャデラック・リリック」に最初に搭載される。

上海GMは2025年までに、アルティアム・プラットフォームをベースにした「新エネルギー車」を10車種以上、中国で生産・販売する計画だ。それらは同社の3大ブランドであるビュイック、シボレー、キャデラックからそれぞれ投入されるという。

(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)

EVシフトへの出遅れを挽回できるか

自動車のEVシフトに関して、上海GMは比較的早くから布石を打っていた。だが、今のところ実績が伴っていない。GMのメアリー・バーラCEO(最高経営責任者)は、2017年の時点で「2020年までにEVとPHVを含む10車種の新エネルギー車を中国で発売する」と宣言していた。

しかし、上海GMが一般消費者向けの初のEV「ビュイック・ヴェリテ6」をようやく投入したのは、2019年4月のことだった。同社は2020年に中国で146万7000台の新車を販売したが、そのうち新エネルギー車は2万台にも満たない。

本記事は「財新」の提供記事です

その間に、中国市場ではEVの普及が予想を超えるスピードで進んだ。業界団体のデータによれば、2021年9月の新エネルギー乗用車の販売台数は前年同月の3倍の33万4000台に増加し、(エンジン車を含む)乗用車の総販売台数の21.1%を占めた。

また、9月の新エネルギー乗用車の販売では、中国メーカーの独自ブランドのシェアが36.1%に達した。一方、(上海GMを含む)外資系の大手合弁ブランドのシェアは、わずか3.5%にとどまっている。

(財新記者:張而弛)
※原文の配信は10月15日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT