孤独死=高齢者の大誤解「5割超は65歳未満の人」だ マイホームを賃貸に出す時に留意したいリスク

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大事なマイホームを人に貸すと決めたら、いわゆる“孤独死保険”は前向きに検討したい。各社で商品性は異なるが、孤独死などで特殊清掃が必要となり、その費用を家主が負担することになった際に、家主が保険金を受け取れるしくみが一般的だ。

入居者が契約するプランと家主向けプランがあるが、家主向けのプランとしては5棟10室や一棟まるごと、あるいは行政向けのプランなどが、少額短期保険会社を中心におよそ10年前から開発されてきた。

近年では、マイホームなどの1室でも火災保険の特約として手軽に備えらえるプランが、損害保険会社を中心に“家主費用特約”として登場してきているので調べてみるといいだろう。家賃滞納対策と孤独死保険をセットにした自主管理大家向けプランを扱う業者もあり、選択肢は増えてきている状況のため、自分にあったプランを選びたい。

◆「家主費用特約」の例
(あいおいニッセイ同和損保・三井住友海上火災の場合)
特徴:
賃貸住宅内での死亡事故(自殺・犯罪死・物的損害を伴う孤独死)が発生した場合に、空室期間や値引き期間が発生したことによる家賃の損失、家主が負担する原状回復費用・遺品整理費用などを補償する。
主な補償内容:
空室期間の家賃損失:家賃月額×空室期間(最大12カ月間)
値引期間の家賃損失:値引前後の家賃月額の差額×値引期間(最大12カ月間)
修復・清掃・脱臭費用等の現状回復のための費用や遺品整理費用等(最大100万円)
※本特約を付けるには、家賃収入特約(賃貸している住宅が火災などにより損害を受けた結果、被った家賃収入の損失を補償する特約)を付帯していることが必要

また、マイホームを人に貸すことにしたなら、「施設賠償責任保険」は付けておきたい。この保険は、所有・使用・管理する物件に基づく賠償責任をカバーするしくみで、火災保険の担当者に相談すれば、特約の形で入ることができるのが一般的だ。

隣人に迷惑をかけたときに備えるなら個人賠償責任保険で備えるのが一般的だが、人に貸したマイホームには自分は住んでいないから、その物件に起因する賠償責任には対応できない。火災保険の見直し時に「施設賠償責任保険」も視野に入れておこう。

竹下 さくら ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士

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たけした さくら / Sakura Takeshita

兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学商学部にて保険学を専攻。損害保険会社の営業推進部および火災新種業務部、生命保険会社の引受診査部門の勤務を経てファイナンシャルプランナーとして独立。個人向けコンサルティングを主軸に講演・執筆を行う。『「奨学金」を借りる前にゼッタイ読んでおく本』(青春出版社)、『「家を買おうかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)など著書も多数。

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