東海道新幹線の「車内販売員」もう一つの重要任務 普段はコーヒーを売るが、緊急事態には大活躍

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東海道新幹線の車内販売業務を行うジェイアール東海パッセンジャーズ(JRCP)のパーサー、井上絢恵さん(研修施設内で一時的にマスクを外して撮影)(撮影:尾形文繁)

列車内で自席に座ったまま、ワゴンに載せられた飲み物や軽食、お土産などを購入できる「車内販売」は旅の醍醐味の1つだ。しかし、全国レベルで見ると新幹線の車内販売が年々減っている。

この動きが本格化したのは2019年3月。JR北海道とJR九州がそれぞれ新幹線の車内販売を廃止。JR東日本も一部の列車における車内販売を終了した。

「乗車前に駅構内の売店でお弁当や飲み物を買い求めるお客様が増えたことで車内販売の売上が減ったことに加え、人手不足で販売員の採用も難しい」と当時のJR担当者が話している。車内販売が存続した列車でも弁当やホットコーヒーなど販売品目が縮小されているケースが相次ぐ。

東海道新幹線の「凄腕パーサー」に聞く

そんな中で気を吐いているのがJR東海である。各駅停車タイプの「こだま」は車内販売を行っていないが、「のぞみ」「ひかり」では健在だ。

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他社の間で新幹線の車内販売を縮小・廃止する動きが相次いだ2019年2〜8月には、缶ビールをプラスチックカップに注ぐことでクリーミーな泡立ちを実現した“神泡”サービスを一部の列車で提供し、車内販売の重要性をアピールした。他社が車内販売での取り扱いをやめたホットコーヒーも、東海道新幹線の車内では「最も売れている商品」(JR東海)である。

なぜ東海道新幹線では車内販売が健在なのか、現在のコロナ禍におけるパーサーの役割とはどのようなものなのか。東海道新幹線の車内販売業務を行うジェイアール東海パッセンジャーズ(JRCP)のパーサー、井上絢恵さんに話を聞いた。

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