原油価格、7年ぶり1バレル=100ドル台はあるのか ハリケーン後遺症+需給逼迫要因が目白押し

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ハリケーン「アイダ」で甚大な被害を受けたアメリカのルイジアナ州。油田も大きな影響を受け、生産量回復には時間がかかりそうだ(写真:ロイター/アフロ)

少し前のことになるが、8月28日、「カテゴリー4」(最大瞬間風速58.6メートル/秒以上)という、非常に強い勢力でアメリカのルイジアナ州に上陸したハリケーン「アイダ」は、同国南部に記録的な被害をもたらした。

生産停止以上に、製油所での消費が落ち込んだ

メキシコ湾に点在する海上油田も影響を大きく受ける格好となりすべての施設から職員が避難、同月30日にはメキシコ湾全体の94.6%にあたる日量172.2万バレルの石油生産が停止するという事態となった。

新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大や、それに伴って景気回復のペースが鈍るとの懸念が高まる中、NY原油市場は8月20日には一時1バレル=61ドル台まで値を下げていた。だが、その後「アイダ」の発生を受けて買いが加速、9月の初めには70ドル台を回復。その後も買いの勢いは衰えず、メキシコ湾の生産回復が遅々として進まないことを受けて9月28日には一時76ドル台まで一気に値を切り上げ、10月に入り一時ほぼ80ドルまで急騰。もはや80ドル台復帰も時間の問題と言うべき状況となっている。

通常ならハリケーンの直撃を受けて停止した石油生産は、ハリケーンの通過直後から生産を再開、1週間も経てばほぼ通常通りの生産量まで回復することが多い。よってハリケーンの通過後は相場が大きく下落に転じることがほとんどなのだが、今回の被害は想定以上に大きい。

上陸から約1カ月以上経った10月5日現在でも依然として日量29.4万バレルの生産が止まったままとなっている。こうした異例の状態を受け、石油市場はこの先一段と需給が逼迫、価格上昇の勢いもさらに強まる可能性が高い。

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