ホンダ「非クルマ分野」の電動化が遅れている訳 世界シェアNO.1を誇る「汎用エンジン」の行方

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ホンダのパワープロダクツ製品(写真:本田技研工業)

2021年春、ホンダは社長を交代した。新社長となった三部敏宏氏は4月の就任会見において、「2050年のカーボンニュートラル」「2040年の4輪電動化(EVとFCV化)100%」など、強い電動化への意欲を表明。これが大きな話題となったのは、記憶に新しい。

その一方、ホンダからは、また別の興味深い発表が続いている。それが「ライフクリエーション事業」(旧・パワープロダクツ)、いわゆる汎用エンジンなどを手掛ける部門からの発表だ。

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その内容は、5月に「業務用作業機向け電動パワーユニット『eGX』の供給開始」、6月に「コマツとの交換式バッテリー『モバイルパワーパック』を活用した電動マイクロショベルの共同開発」、そして7月には「歩行型電動芝刈り機、電動芝刈り機、電動ブロワおよび共通の充電式バッテリーを発売」「電動ロボット草刈り機『Grass Miimo(グラスミーモ)』発売」と続いた。

つまり、内燃機関(エンジン)ではなく、電気モーターで駆動する製品が続々と投入されているのだ。

汎用エンジンは「スーパーカブ」より歴史あり

ホンダの汎用エンジンの歴史は古い。ホンダ初の汎用エンジンは、1953年の農業用汎用エンジン(H型)だ。ホンダの創業が1948年だから、そのわずか5年後に汎用エンジンの生産を開始していることになる。1958年の「スーパーカブ」登場よりも5年も前のことだ。

1958年登場の「スーパーカブC100」(写真:本田技研工業)

さらに、その6年後となる1959年には、ホンダ初の耕うん機「F150」を発売。1969年になると、汎用製品の累計生産は100万台を突破している。そして1975年には、当時の社長河島喜好氏によって、汎用製品を2輪/4輪に続くホンダの第3の柱とする「3本柱構想」が打ち出された。

これによってベストセラーとなる新世代の汎用エンジンも誕生し、汎用製品の販売はさらに伸びる。1983年には今も続く汎用エンジン「GXシリーズ」が誕生。1985年に1000万台を突破し、2019年には1億5000万台に達している。

現在のホンダの汎用製品ラインナップは、汎用エンジン、発電機、除雪機、耕うん機、水ポンプ、芝刈り機、草刈り機、ハンドヘル作業機(刈払い機やブロワなど)、蓄電池、船外機など多岐にわたっている。

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