悪者扱いのフェスが音楽産業に欠かせぬ切実事情

近年は地域振興にも貢献、観客のモラルも課題

「密フェス騒動」は、有観客での開催が増えてきた矢先の出来事だった。世間からのバッシングは強まり、フェス自体のイメージも低下してしまったようだ。写真はイメージ(撮影:尾形文繁)

8月に開催された野外音楽フェス「NAMIMONOGATARI2021」(愛知県)などのイベントで、観客がノーマスクで声を上げ、密状態で盛り上がっていた様子などが取り沙汰された。

イベント主催者側は入場者数の制限など、コロナ感染対策を打ち出していたが、一部のファンの間でルールがまったく守られていなかった。こうした事態もあり、千葉市は9月に開催された「スーパーソニック」の主催者に延期や規模縮小を求めていたが、予定通りの開催としたため、後援を取り消している。

一連の出来事によって、音楽フェスは「悪者」としてネット上で批判され、出演したアーティストも非難されている。有観客でのライブ開催が徐々に復活しつつあった最中の騒動で世間の逆風は強まり、ライブ業界を揺るがす問題に発展しつつある。

復活に向け動いてきたが…

「怒りを通り越して、絶望的な気分になってしまった。何のために1年半やってきたのだろうという気持ちだ」。こう肩を落とすのはコンサートプロモーターズ協会の中西健夫会長。同協会は音楽を中心にライブ開催を手掛けるプロモーターの業界団体だ。コロナ禍において関係省庁や自治体などと協議を重ね、ガイドラインを策定し、感染防止対策を講じたうえでの音楽ライブの開催を重視してきた。

その真っただ中の騒動とあって、協会は9月2日、音楽事務所などが加盟する日本音楽制作者連盟など4団体と抗議の共同声明を発表している。具体名こそ伏せたが、協会に所属しない事業者がガイドラインを参照して開催したフェスにおいて、対策が不十分だったことを指摘。「皆さまのご苦労を台無しにする暴挙と言わざるを得ません。かかる行為は、誠に遺憾であり、当該主催者には厳重に抗議いたします」としている。

業界を挙げてリアルでの開催に動く背景には、音楽ビジネスにおける重要性はもちろん、フェスが音楽の枠を超えるイベントに成長したという事情がある。

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「フェス」が音楽業界に欠かせない切実事情

密フェス「怒りを通り越し絶望」する音楽人

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