自民総裁選で急浮上「決選投票」の大逆転シナリオ 大半の派閥は自主投票、自民史上に残る戦いに

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9月18日、日本記者クラブ主催の自民党総裁選討論会を前に、揮ごうを手に記念撮影をする(左から)河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子の各氏(写真:時事)

メディアジャックにもみえる大騒ぎの自民総裁選も、連休明けから終盤戦に入る。河野太郎(58)、岸田文雄(64)、高市早苗(60)、野田聖子(61)=届け出順=の候補者4氏は、勝負の帰趨を決める国会議員票と党員・党友票(いずれも382票)の獲得工作に精魂を傾けている。

今回のような「フルスペック」と呼ばれる本格総裁選で慣例だった党主催の地方演説会はコロナ対応で中止となり、オンライン討論会が主戦場となっている。論戦のテーマもコロナから経済、社会保障、外交・安保、そして党改革や政治と金まで多岐にわたる。

一発決着は難しく、決選投票に

これまでの討論会などで各候補の立ち位置はかなり明確になり、対立点も絞られてきた。しかし、各派閥領袖など党内への配慮からか、互いに寸止めのような予定調和の論争が目立ち、倒すか倒されるかの闘いとは程遠いのが実態だ。

一方、議員票をめぐる多数派工作は、投開票日に向けて権力闘争むき出しのガチンコ勝負の様相だ。とくに、党員・党友投票で圧勝して一発決着を目指す河野氏と、議員投票が中心となる決選投票に持ち込んで逆転を狙う岸田氏、急浮上している高市氏の争いに加え、目前の衆院選だけなく2022年夏の参院選も見据えた各派閥の利害も絡み、複雑怪奇な構図となっている。

9月29日の投開票まで残り1週間。郵便での投票が進む党員・党友を対象とした各メディアの情勢調査が連日公表される一方、議員票を含めた各陣営の票読みも佳境に入っている。

現時点の票読みで共通しているのは「一発決着は困難。決選投票必至」(細田派幹部)との見通しだ。今回と同様に現職不出馬で大混戦となった2012年9月の総裁選では、1回戦の党員・党友票で圧倒して首位に立った石破茂氏(元幹事長)を、58票差の2位だった安倍晋三氏(前首相)が決選投票では議員票で19票差をつけて大逆転した。

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