目先の誘惑に弱い人が意識するといい3つの視点 今の10万円より将来の10万1000円を選べる?

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人は必ずしも合理的に行動するとはかぎりません(写真:freeangle/PIXTA)
「時間割引率が低い選択をすれば、将来大きなリターンとなって戻ってくる」。そう話すのは、経済評論家の勝間和代氏です。時間割引率とは、いったい何か。それを低くすることでどういったメリットがあるのか。新著『勝間式生き方の知見―お金と幸せを同時に手に入れる55の方法』を上梓した勝間氏が解説します。

「時間割引率」が低いと将来の利益につながる

あなたは、今10万円をもらうのと、1年後に10万1000円をもらうのと、どっちがいいですか?

そう聞かれたとき、多くの人が「今の10万円」を選ぶ傾向にあります。これは、私たちには今すぐ手に入る報酬を、先々に手に入る報酬よりも高く評価する心理作用が働くためです。本当は、今の10万円より、1年後の10万1000円のほうが1%上乗せされて、手にする報酬は増えます。それなのに、1年という時間を考えるとプラス1000円の価値が低下して、今10万円のほうがいいと考えてしまうのです。

この「今の10万円」を選ぶことを時間割引率が高いと言います。割引率が高いから手元に残るものが少なく、将来の利益につながりません。逆に、「1年後の10万1000円」を選ぶことを時間割引率が低いと言います。割引率が低いから手元に残るものが多く、低ければ低いほど、お金が貯まります。ギャンブルにはまったり、消費者金融で借金をしたりなど、将来の自分を苦しめる行動もしません。

お金だけではなく、健康面でも時間割引率が低い選択をすると、健康寿命の延長につながります。例えば、喫煙や飲酒は体に悪いからしない。足腰や心肺機能を鍛えるためによく歩いて、駅ではエスカレーターやエレベーターを使わないで階段を使うなど。これが、時間割引率が高くなると、体に悪いとわかっていながら、今の多幸感を選んで喫煙や飲酒をしたり、今楽をしたくて車やエスカレーターを使ったりしてしまいます。

私たちは加齢に伴い、さまざまな体力的な能力が衰えていきますが、その衰えは、時間割引率が低い選択を持続することで補うことができるわけです。いわば、目の前の選択は、将来への投資。その投資がいずれ花開いて、大きなリターンになって戻ってくることをイメージすると、時間割引率が低い選択をしやすくなると思います。

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