第5波収束「コロナ季節性」を全く軽視できない訳 10月末以降の規制緩和は第6波と重なってしまう

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いつまでも精神論を振りかざしていてはウィズ・コロナなど実現しない(写真:Kentaro Takahashi /Bloomberg)
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新型コロナウイルス(以下、コロナ)の第5波が急速に収束しつつある。イギリス・オックスフォード大学が運営する“Our World in Data”によると、9月18日の日本の新規感染者数は45.2人(人口100万人あたり、7日間平均)で、主要先進7カ国(G7)で最低だ(図1)。最も多いアメリカの約10分の1である。

図1

(外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

ところが、G7で日本だけが緊急事態宣言を続けている。9月9日、菅義偉首相は、緊急事態宣言を9月末まで延長し、10~11月に希望者全員のワクチン接種を終えることと並行して、「制限を緩和していく」との見解を述べた。

菅首相の発言に対して、専門家は慎重だ。9月15日付の毎日新聞は、尾身茂・コロナ感染症対策分科会会長のコメントとして、「ワクチン接種率が上がることはいいことだが、急に緩めると必ずリバウンドが来る」と指摘し、「緊急事態宣言の解除後に実施すべきだとの認識を示した」と紹介している。

尾身氏は、第5波が収束した一方、いつでも感染は再燃すると考えているようだ。例えば、9月15日の衆院厚生労働委員会の閉会中審査にて、ピークを越えた理由について、「複合的だ。ワクチンは1つの要素。人流は5割削減の目標は達しなかったが、去年に比べると低いレベルで維持されている。多くの人が外で酒を飲むのを控えた。マスクを着用している人の率が高い」と説明している。

諸外国は規制緩和したとたんに流行再燃していない

私は、このような主張に賛同できない。それは、日本以外の先進国の状況を説明できないからだ。尾身氏の主張が正しければ、諸外国は、規制を緩和した途端に流行が再燃し、再ロックダウンとなっているはずだ。

実態は違う。パラリンピックの閉会式で、フランスからの中継が映ったが、ノーマスクで密な状態で大はしゃぎだった。このフランスで、感染は拡大していない。このような事実を考慮すれば、尾身氏の主張は非合理的と言わざるをえない。コロナ対策はデータに基づき、合理的に議論しなければならない。

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