コロナ下の金融政策とデジタル通貨拡大の焦点

プリンストン大学の清滝教授がすべてを語る

清滝教授はビットコインに対しては否定的な見解を示した(撮影:尾形文繁)
中央銀行が大規模な金融資産の購入を通じてマーケットの流動性を高める「非伝統的な金融政策」。その理論化を主導し、2008年のリーマンショックの鎮火に貢献したのが、プリンストン大学の清滝信宏教授だ。
コロナ後の経済はどうなるのか。清滝教授はアメリカ経済の回復途上で抱えるリスクを指摘。各国で研究が進む中央銀行デジタル通貨の将来についても語った。
(本記事は全5回で配信している清滝教授のロングインタビュー4回目です)

――コロナ危機に対応した金融・財政政策について聞かせてください。リーマンショック後に本格化した中央銀行の「非伝統的な金融政策」が、パンデミック(感染症の世界的流行)に端を発した2020年3月の世界的な株価暴落時に復活し、再び危機を救いました。

昨年3月は、かなり危ないときがあった。社債の金利や民間の資金調達コストが跳ね上がった。長期のアメリカ国債金利まで上がってしまったのには、多くの人が仰天した。

要するに流動性プレミアム、リスクプレミアム、期間プレミアム(長期金利と短期金利の差)が一斉に高騰した。しかも株価が暴落し、途上国からお金が流出し始めた。放っておいたら金融危機になっていてもおかしくなかった。

ただ、金融当局もよくわかっていた。彼らには世界金融危機時のシステム対応が残っていて、それを全部、再開した。さらに世界的に米ドル不足となる中、FRB(米連邦準備制度理事会)は先進国だけでなく、広く途上国ともスワップラインを結んで米ドルを大量供給した。

僕たちの論文を含めて、この分野の研究や経験が蓄積され、今では「非伝統的な金融政策はもはや伝統的である」と言われている。結局、金利がゼロに張り付いてしまったら、それ以降は中央銀行が金融資産を買い入れ、流動性プレミアムや期間プレミアムなどを下げることで対応することが自然になっている。

――コロナ禍の収束はまだ先ですが、世界的な金融・財政政策のを大きく拡張したことにより、危機後の金融市場は株価にしろ、むしろ過熱ぎみです。

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第1回 宇沢弘文氏の教えから昇華した「独自モデル」

第2回 中央銀行を魅了した「清滝理論」の核心

第3回 超一流の経済学者たちと向き合う「流儀」

第4回 コロナ下の金融政策、デジタル通貨の未来

第5回 低成長、格差、超高齢化に送る処方箋

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