テロとの戦争がもたらした最大の「受益者」は誰か

国際政治学者の高橋和夫氏に聞くテロとの戦争

アメリカ軍撤退後のアフガニスタン。タリバン政権はどんな動きをみせるのか(AFP=時事)
アメリカ軍のアフガニスタン撤退で、2001年の同時多発テロ以降、アメリカが繰り広げてきた同国での「テロとの戦争」に終止符が打たれた。
戦争当初、アメリカ軍が駆逐したイスラム教原理主義武装組織・タリバンが再びアフガニスタンを制圧。テロの拡大などをこれまで以上に懸念する声が高まっている。今後、中東地域はどのような動きを見せるか。国際政治学者の高橋和夫氏(放送大学名誉教授)に話を聞いた。

 

――テロとの戦争には日本もアフガニスタン支援事業をはじめ深く関わりました。しかし、アメリカ軍の撤退という不名誉な形で終わりました。

この20年間、アメリカでは「こんな戦争はもう受け入れられない」という世論が高まっていた。撤退の実施に関して、あのような形がよかったかどうかは別として、それ自体はアメリカ国民が望んでいたともいえる。来るべきものが来たと言ってもよい。

――テロとの戦争当初はアメリカ軍に駆逐されたタリバンが、再度アフガニスタンを制圧できた理由は何でしょうか。

最大の理由は、アメリカがつくった現地政権の腐敗がひどかったこと。そして、隣国のパキスタンがタリバンを受け入れていたこと。タリバンは戦闘に疲れればパキスタンに逃げ込んで休息し、力を温存できた。

そもそも、アメリカのアフガン政策は矛盾を抱えていた。アフガニスタンは内陸国であり、そこに入るにはパキスタンかイランを通るしかない。アメリカはイランから入れないので、パキスタンしかルートがない。そのパキスタンはタリバンを支援してきたし、アメリカとの関係も維持してきた。その矛盾の中でアメリカは闘い続けた。

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