億ションは「買うよりも売るほうが難しい」理由 中古に1億円以上払う層が選ぶエリアは限定的

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Ryuji / PIXTA

全戸完売していたタワーマンションにキャンセル住戸が出た。しかし、その価格表を見て驚いた。価格が以前の2割増しで再販されることになっていたからだ。こうしてまた億ションの供給戸数が増えた。

コロナ禍で持家需要は急拡大したが、不動産は需給バランスがひっ迫すると価格が上がる。こうした相場では億ションが続出することになるが、億ションを買った人は大成功か大失敗かのどちらかになりやすい。その分かれ目は理解しておいた方がいい。

億ション市場は特殊

2020年の都区部の新築マンション平均価格は7,714万円に高騰している。新築の億ション供給戸数は1818戸に及ぶ。これは都区部の供給戸数の6戸に1戸が億ションであることを意味する(いずれも不動産経済研究所調べ)もう億ションは珍しいものではなくなった。しかし、億ションは買うのは簡単だが、売るのは難しい。それは1億円以上で売れるには要件があるからだ。これを満たさない場合、売るに売れなくなってしまう。

例えば、浅草で3億円弱の新築マンションは2億円ほど下落した事例がある。住宅ローンの審査上限は通常1億円であることは知っておいた方がいい。億ションの市場規模は何倍に膨らむこともあれば、その逆もあり得るので注意が必要だ。

先日、山手線外側のJRのターミナル駅付近の億ションを買いたい方の相談を受けた。事前に調べることは、その駅での1億円以上での中古成約事例である。その数と物件属性を把握しないとアドバイスはできない。その結果は、9000万円弱が最高値であった。この駅周辺では億ションを買う人はいないと考えた方がいい。そうなると、買うのはいいが、売る際には9000万円ぐらいまで値下がりを覚悟してください、としか言いようがない。

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