就活や婚活で「年収ばかり重視する人」の盲点 日本人に圧倒的に足りない「会計思考」

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日常生活にも応用できる「会計思考」とは(写真:kazuma seki/iStock)
通常のビジネスだけでなく就活や婚活をするうえでも役に立つ「会計思考」の考え方とは――。『YouTuber会計士がゆる~く教える会計「超」入門 ぶっちゃけ会計のことがまったくわかりません…』を上梓した小山晃弘氏が解説します。

「年収1000万円」に要注意

「私、年収1000万円なんです」という若手ビジネスパーソンや、「ウチの会社は年商10億円」という社長さんに対して、「いいなー、お金持ち!」と思ったりしていませんか? 

私は、「ちょっと待った!」と言いたい。年収も年商もP/Lの「売上高」に当たること。売上高だけを見て、「めっちゃ儲かっている~!」なんて判断するのは早計です。

よく知らない方に説明すると、P/Lとは「損益計算書」のことで、会社の成績を表す財務諸表の1つ。ざっくりいうと、P/Lでは「ある期間のお金の出入り」を表します。たとえば、「1年間にどれだけお金が入って、どれだけお金が出ていったか」を確認できます。

会計や簿記でも学ぶことなのですが、売上高だけで会社の実態なんて正直わかりません。なぜなら、年商10億といっても、業種によって「営業利益」は大きく異なるから。「営業利益」とは、入ったお金(売上高)からかかったお金(原価や販管費)などを引いた数字で、会社の運営実態を表すのにとても大事な指標なんです。

たとえば卸売の会社だったら「売上高10億円」でも、「営業利益2000万円」くらい。つまり、手元に残る利益はかなり少ない。一方で、IT企業では「営業利益率50%超!」なんてこともよくある話。たとえ「売上高1億円」でも、「営業利益5000万円」になる企業もざらにあります。

「年商だけ」見ていたら、本来の姿を見落としてしまうということなんですね。

確かに1年のお金の出入りがわかるP/Lのほうが、イメージをつかみやすいのですが、その数字しか見ないのは「1つの出来事からしかモノを見られない」典型的な「単眼的視野」です。やはりどんな物事も、さまざまな角度から「複眼的」に見て判断しないと本質はつかめません。

私はこういった物事を多角的な面から見られる思考のことを「会計思考」と呼んでいます。会計を学んでいると、自然と身につく考え方だからです。

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