SBIソーシャルレンディングが放置した「問題」

SBIグループは融資事件の「最大の被害者」なのか

「熱海SDGsホテル」の建設予定地には草木が生い茂っていた。写真は8月上旬(記者撮影)
「あの詐欺師によってたくさんの被害者が出たが、最大の被害者がわれわれだった」4月28日の決算説明会で、東証1部上場企業、SBIホールディングス(SBI)の北尾吉孝社長はそう言い放った。
「詐欺師」と呼ばれたのは太陽光発電のベンチャー・テクノシステム(テクノ)の生田尚之社長。生田氏は5月27日、東京地検特捜部によって詐欺容疑で逮捕されている。
テクノはSBIソーシャルレンディング(SBISL)から200億円以上の資金を事業資金として借りていながら、そのうち130億円近い額を融資の名目とは違う用途に充てていた疑いがあがっている。
前編「SBIグループは融資事件の『最大の被害者』なのか」に続き、今回の中編では、第三者委員会による調査報告書を基に、テクノのずさんな経営実態だけでなく、異変に気づきながらテクノをつかんで離そうとしなかったSBISLの姿を詳述する。

静岡県熱海市。太平洋を望む住宅街の一角に、不自然な空き地(上写真)がある。

ここに「熱海SDGsホテル」を建設する計画が持ち上がったのは2019年夏のことだった。屋上に太陽光パネルを敷設し、持続可能な社会を意識したホテルを建設するプロジェクトを立ち上げたのはテクノで、2つのファンドを設立してそのための資金を投資家から集めたのがSBIソーシャルレンディング(SBISL)だった。

投資家から集まった資金は30.4億円で、2019年7月19日以降、全額がテクノに貸し付けられた。不動産の登記簿謄本によれば、7月19日付で「SDGs熱海合同会社」(テクノが設立した特別目的会社)に土地の所有権が移っている。

つまり、ホテル建設に向け土地の取得までは進んでいた。が、2021年8月上旬、記者が現地に行くと、そこは草木が生い茂り、工事が進められた気配は見られなかった。SBISLの第三者委員会がとりまとめた調査報告書によれば、ホテル建設は下請け業者との契約も結ばれぬまま、貸し出された約30億円のうち約22億5000万円がホテル建設とは関係のない用途に使われていた。

調査報告書によれば、SBISLが太陽光発電案件と不動産案件でテクノに貸し付けた資金の合計額は207億2805万円。そのうち投資家に示した資金使途とは別の使われ方をしていたのは129億2711万円と、融資総額の6割を超える。

では、多額の資金を貸し付けていたSBISLはテクノの異変に気づかなかったのか。

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前編/SBIグループは事件の「最大の被害者」なのか

中編/SBIソーシャルレンディングが放置した問題

後編/SBIグループとテクノの不可解な関係

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