SBIグループは融資事件の「最大の被害者」なのか

北尾吉孝氏はベンチャー社長を「詐欺師」呼ばわり

SBIホールディングスの北尾吉孝社長から「詐欺師」呼ばわりされた人物による手紙。近しい関係者に当てた手紙には懺悔と怒りが入り交じる(記者撮影)

「あの詐欺師によってたくさんの被害者が出たが、最大の被害者がわれわれだった」

4月28日の決算説明会で、こう強く言い放ったのは東証1部上場企業、SBIホールディングス(SBI)の北尾吉孝社長だった。

「詐欺師」と呼ばれたのは太陽光発電のベンチャー・テクノシステム(本社・神奈川県横浜市。以下テクノ)の生田尚之社長。

生田氏が東京地検特捜部によって詐欺容疑で逮捕されたのは北尾発言から1カ月後の5月27日のことだった。阿波銀行や富士宮信用金庫から引き出した十数億円の融資を、名目とは別の用途に使っていた疑いで、金融機関から資金をだまし取ったというものだ。

北尾氏がSBIを「最大の被害者」と表現したのは、前出の金融機関より大きな資金を100%子会社SBIソーシャルレンディング(以下、SBISL)がテクノに貸し付けていたからだ。テクノはSBISLから200億円以上の資金を事業資金として借りていながら、そのうち130億円近い額を融資の名目とは違う用途に充てていた疑いがあがっている。

ベンチャーの社長は破産に抵抗

SBIは4月初め、ソーシャルレンディングの貸付先に重大な懸案事項が生じており、債権が回収できないおそれがあるとして、2021年3月期に多額の損失を計上すると発表している。一方、資金繰りに行き詰まったテクノの負債総額は150億円(うち金融債務が90億円)。事後処理を任された弁護士は5月中旬、6月初旬にも東京地裁に民事再生法の適用を申請するという意向を示した。

横浜市にあるテクノシステムの本社。もぬけの殻となった部屋の中で電光掲示板がむなしく光っていた。写真は8月上旬(記者撮影)

社長の生田氏は司直の手に委ねられ、会社は法的整理へ――。事態は収束に向かうかに思われた。ところが、それから約3カ月、会社の整理が遅々として進んでいない。

東洋経済の取材によると、民事再生は現実的に難しいと判断した弁護士が破産手続きに切り替えようとするも、勾留されている生田氏が破産には強い抵抗を示していることがわかった。テクノ本社のある横浜ランドマークタワー19階の部屋は、8月上旬時点で椅子や机が放置されたままになっている。

ソーシャルレンディングでSBISLから200億円以上の融資を受けながら、SBIグループトップの北尾氏から「詐欺師」呼ばわりされた生田氏は、胸中に何を秘めているのか。

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前編/SBIグループは事件の「最大の被害者」なのか

中編/SBIソーシャルレンディングが放置した問題

後編/SBIグループとテクノの不可解な関係

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