「死に目に会う」を重視しすぎる日本人の大誤解 亡くなる時に「一番大切なこと」はほかにある

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大切な人の悲しい知らせは突然訪れるものです(写真:Graphs / PIXTA)
もしも、自分が治らない病気とわかったとき、多くの人が、できれば楽に痛くなく過ごして、住み慣れた場所で自分らしく最期まで生きたいと思うのではないだろうか?
在宅医療の実話が本になった『ねこまんが 在宅医たんぽぽ先生物語 さいごはおうちで』の著者永井康徳氏に、「大切な人の『亡くなる瞬間に立ち会う』よりも重要なこと」について語ってもらった。

「死に目に会えない=不幸」という思い込み

現在の日本では、多くの人が「大切な人の『死に目』に会う」ことが大切だと思っています。「大切な人の死に目に会えない」ことは不幸なことなのでしょうか?

実は「思い込み」が、逆に人を不幸にしているのかもしれないと私は感じています。この思い込みのために、ご家族は患者さんから片時も離れずに見守り、息を引き取る瞬間を見届けようと頑張ってしまいます。このために、自宅での看取りはできないと諦めるご家族もいるくらいです。

私は、「亡くなる時に一番大切なのは、その瞬間を見届けることではなく、本人が楽に逝けること」だと思うのです。

このことは講演会や研修などで折りに触れてお話しするのですが、ある講義で、参加していた研修医の目から涙があふれて止まらなかったことがありました。彼女の涙の理由は、講義の感想として次のように記されていました。

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