日米中に翻弄された「馬毛島」と怪人物の戦後秘史

防衛力の「真空地帯」に中国政府は付け込んだ

馬毛島の元オーナー、立石勲氏。この島にかける思いは強烈だった。写真は2019年撮影(筆者撮影)

鹿児島県・種子島の西方12キロ先に浮かぶ馬毛島(まげしま)。日本で2番目に大きなこの無人島の元オーナー、立石勲氏が2021年5月、老衰のため亡くなった。享年88歳。

同島は、自衛隊の基地計画や沖縄の米軍普天間基地の移籍先の有力候補として名前が挙がった。また、立石氏をはじめ、日中政府の高官ら有象無象の人物が入り乱れ、戦後裏面史の舞台の1つであったことはほとんど知られていない。

筆者は、同島を1995年から2019年まで事実上所有していた立石氏と親しく付き合い、虚実入り乱れるさまざまな裏話を聞いてきた。

ライブドア幹部の紹介で中国共産党と接触

「中国ともやりとりがあったんですよ」

筆者が2018年11月、都内のホテルで立石氏と会った時のことである。

防衛省が自衛隊基地の建設計画を進める同島をめぐっては、2019年11月に防衛省と立石氏の間で売買契約が妥結されるまで、10年以上にわたる紆余曲折に満ちた交渉が続いた。

立石氏とは、取材のため自宅を訪ねたところ、かつてごく短期間ながら私が議員秘書をしていた時のボスが立石氏の陳情相手だったということもあって話が弾み、それ以来、親しくさせてもらった。よく立石氏は「忙しいですか?」と電話をかけてきては、防衛省との交渉の途中経過を聞かせてくれた。物腰は柔らかく、言葉遣いも丁寧だ。

80歳を過ぎても島にかける思いは強烈で、この時もがんの治療で東大病院から退院したばかりだというのに、島に基地を作ることがいかに日本の安全保障に有益であるかまくし立てた。

ただ、立石氏の話はどこまで本当なのか、首をひねりたくなるようなものが多かった。「本当ですか?」と疑問を呈した時に立石氏が見せてくれたのが、7人分の名刺をコピーした紙だった。中国共産党中央対外連絡部(中連部)の副部長の劉洪才や国営通信社である新華社の副社長の徐錫安、駐日大使館の参事官の林欐らの名前が並ぶ。>>記事の続きはこちら

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日米中に翻弄された「馬毛島」と怪人物の戦後秘史

馬毛島を通り過ぎた開発プロジェクトの正体(8月28日公開予定)

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