強烈にたくましい「8つの植物」のすごい生き様 「逆境? なにそれ?」という柔軟さ

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「たくましい植物」たちの生態とは? 写真はザゼンソウ(写真;shiba / PIXTA)
変化が激しく先が読めない現代、将来にわたって「絶対確実で安定した道」などなさそうです。子どもを育てる親の中には、「どんな世の中になっても、たくましく生き抜いてくれる力を持つ大人」になってほしいと考える人がいるのではないでしょうか?
実は植物の世界では、逆境をものともせず「とんでもないたくましさ、柔軟さ」で生き残ってきた植物がいます。こんな植物から学べることは多いのではないでしょうか? 稲垣栄洋先生が監修した『ほんとうはびっくりな植物図鑑』からご紹介します。

ほんとうはびっくりな植物たち

① ツリフネソウからは絶対に飲み逃げできない

ツリフネソウは、ツリフネソウ科の一年草で、日本では北海道から九州にかけての低山や山地に自生しています。夏から秋に紫色の独特な形をした花を咲かせますが、その花が「帆掛け船を吊り下げた」ような形なので、この名前になったといわれています。

花の形が複雑で、みつのある奥の部分がうずまき状になっているので、みつにたどりつけるのは、ナガマルハナバチなどの長いストロー状の舌をもつ虫に限られます。虫がみつを飲むには、花の奥まで入りこまなければなりませんが、このときに花粉が虫の体にたくさんつくしくみです。みつの「飲み逃げ」は許さないというわけですね。

(画像:『ほんとうはびっくりな植物図鑑』より)

②イノコヅチは天敵をさっさと育てて追っ払らう

イノコヅチは、ヒユ科の多年草で、日本では北海道以外に分布しています。夏から秋にかけて緑色の地味な花を咲かせます。天敵は葉を食べるイモムシですが、イノコヅチはユニークな方法で、イモムシに対処しています。イノコヅチの葉にはイモムシの成長を早める成分が含まれていて、その葉を食べたイモムシは通常より早く脱皮を繰り返し、十分な葉を食べずに成虫のチョウやガになってしまいます。チョウやガになれば、もう葉は食べませんし、早く育った成虫は小さくなってしまい、卵を産む力がありません。こうして、イノコヅチは天敵のイモムシをやっつけているのです。

(画像:『ほんとうはびっくりな植物図鑑』より)
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