中国「時速600kmリニア」気になる本当の開発状況 車両は完成しているが、まだ高速試験線がない

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中国の鉄道車両メーカー、中国中車(CRRC)が研究開発した時速600kmの高速磁気浮上交通システム(リニアモーターカー)(写真:中国通信/時事通信フォト)

中国で実用化に向けて開発が進められている「時速600kmの高速磁気浮上交通システム」に使われる車両が7月20日、山東省青島市でお披露目された。磁気浮上交通システムとは、リニアモーターカーのことだ。

現地では、「設計最高速度が時速600kmとなるのは世界初」とのフレーズを使って大きく報道されているが、実際の進捗状況はどのようなフェーズまで進んでいるのだろうか。開発の経緯を改めてたどってみた。

「完全な自主知的財産権」を保有

中国では、全長30.5kmと短い区間ではあるものの、ドイツから導入されたリニア「トランスラピッド」が2002年に上海の西郊外・竜陽路と浦東国際空港を結ぶ足として導入された。同リニア路線は当初、上海市内や近隣都市まで延長されるプランもあったが、実現しないまま現在に至る。

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そもそもこの路線は中国での鉄道高速化に当たり、従来の軌道交通で行うか、それともリニアを導入するかを推し量るための試験的な要素も強かったとされる。結局、中国ではその後従来の鉄道方式での高速化を進め、現在では世界最長となる3万km超の高速鉄道網を全土に建設。最近ではチベット自治区でも最高時速160kmで走る旅客電車が走り出し、全省・自治区・直轄市への乗り入れが実現している。

さて、今回発表された「高速リニア交通システム」だが、試作車両製作は青島市の中国中車(CRRC)四方公司で進められた。コア技術については、中国が「完全な自主知的財産権」を保有していると説明。国内の30を超える大学や研究所、企業が共同で研究・開発(R&D)を進めてきたとしている。

高速鉄道に投入された車両は当初、日本やドイツなど外国から積極的に導入された経緯があり、そうした外国製車両をベースに量産を進めたとの見方もあることから、今回のリニアシステムの公開に当たっては、特に「完全な自主知的財産権」と強調する必要があったと感じさせる。

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