85歳で借金1000万も「介護離職の悲惨」避ける技 親の介護の負担を1人に集中させてはいけない

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介護離職すると老後の家計が厳しくなる可能性が高くなります(写真:無印かげひと/PIXTA)
親の介護はある日突然、始まる。なかなか帰省できず、親の体調の変化にも気づきにくい今だからこそ、いざというときに困らないよう、介護にまつわるお金や体制づくりについて、知っておきたいもの。『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』を監修した特定社会保険労務士の池田直子氏が、どうしたら仕事を辞めずに介護体制を整えられるのかを解説します。

介護の担い手は誰が多いのか

親が75歳以上など後期高齢者医療の対象になる年になると、介護がだんだんと視野に入ってくる。実際に親が要介護認定を受けた場合、たいていは体のどこかが不自由になり、判断力も低下しているため、日常生活をひとりで送ることは難しくなってくる。その際に親の介護を担うのはいったい誰なのか、見ていこう。

まず、介護の担い手の割合を見ると、同居の配偶者が行うことが最も一般的であることがわかる。また、同居の子ども夫婦が介護の担い手となるケースも多くみられる。

(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

しかしその一方で、別居の場合も含め、半分近くは子ども世代が担っていることにも注目したい。「別居しながらの介護は厳しい」と思い込んでいる人もいるかもしれないが、実際には別居家族が介護を担うケースも少なくないのだ。

同居の配偶者が介護を担当する場合は、いわゆる老老介護となり、体力的にも精神的にも困難を伴う。面倒を見ていた親まで倒れてしまっては元も子もないため、子どものサポートが不可欠だ。同居の場合はもちろん、たとえ親と離れて暮らしていたとしても、子ども側から積極的に介護への参加を心がけたいものだ。

その後、片方の親が亡くなり、もう片方の親が要介護になったときには、いよいよ子どもの出番となる。ただし、仕事と介護の両立が難しいからといって、仕事を辞めて介護に専念することはおすすめできない。介護のために仕事を辞めてしまうと、まず経済面で大きなダメージとなる。

また、仕事をやめると息抜きの機会がなくなり、肉体面・精神面でもかえって負担が増したという声も多い。そのため、焦って介護離職を選択するのではなく、外部サービスをうまく活用しながら「辞めない介護」を検討するとよいだろう。

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