「こども庁」は必要か、現場からあがる厳しい本音

遅すぎた子育て世代支援、求められる財政拡充

政府はこども庁の創設に向けた検討を進めている。新省庁の創設により、子どもに関する問題を解決できるのか(撮影:今井康一)
政府は、子どもに関わる問題を一元的に取り組む「こども庁」の創設を進めている。子どもの貧困や虐待、学校でのいじめ、少子化など早急に解決すべき問題は山積みだ。
こども庁には何が求められているのか。子どもの貧困・教育費問題に詳しい末冨芳・日本大学教授、虐待の体験者で支援活動を行うブローハン聡さん、「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんの3人に話を聞いた。

「財源拡充がなければ意味がない」

こども庁の話を聞いたとき、私や現場の支援団体は強い怒りを感じました。

コロナ禍で困窮する子育て世代への政府の支援は、あまりに遅すぎます。その中での新省庁の議論は、政策の優先度がどこに置かれているかわからないからです。2人親世帯への給付金支給は支援団体が何度も政府に要望し、感染拡大から1年経ってやっと決まったところでした。

末冨芳(すえとみ・かおり)/京都大学教育学部、同大学院教育学研究科修了。教育費の家計負担問題を研究。2014年から内閣府の子どもの貧困対策に関する有識者会議に参加(撮影:ヒダキトモコ)

支援団体の調査によると、緊急事態宣言が出されるたびに、非正規労働のシングルマザー世帯を中心に家計が厳しくなっています。食事も満足にできず、体重が減少した子どもも増えています。新しい組織を創る前に、足元で困窮する子どもの支援を最優先してほしい。

そのうえで新組織の設置は、財政拡充がなければ意味がありません。自民党議員によるこども庁に関する緊急提言では、子育て関連支出の対GDP比を欧米並みの3%台まで倍増させるという目標を掲げました。しかし、(6月に出された)政府の「骨太の方針」では具体的な目標までは触れていません。それどころか、菅首相は一部の高所得者への児童手当廃止を打ち出しています。

日本はそもそも、子ども・子育て世代への支出が少ない。OECD(経済協力開発機構)データによると、これは常識です。子どもを大事にすると言いながら、子どものための給付を削って他の予算に充てることは、大きく矛盾しています。>>記事はこちら

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