ピークはこれから?「ウッドショック」高まる緊張 正念場は9月、木材加工会社は受注先の「選別」も

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アメリカの住宅需要拡大により世界的に木材の需給が逼迫し、価格も急騰した「ウッドショック」。木材を大量に使うハウスメーカーやビルダー、中小工務店から悲鳴が上がっている。
会員サイト『東洋経済プラス』のデジタル特集「ウッドショックの波紋」では、ウッドショックにより、各方面へ広がる影響の行方を追った。
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住宅木材価格「平時の4倍」の激震

ウッドショックはアメリカで2020年夏ごろからささやかれ始め、日本では2021年3月ごろから表面化した。

ウッドショックがハウスメーカーや中小工務店を直撃している(編集部撮影)

「住宅を建築する木材が足りないため、5月ごろから『普段つきあいのない大手メーカーからプレカット材の発注が入っている』との話題が業界内で出始めた。ハウスメーカーなどは手当たり次第に発注をかけ、木材取引価格は加工業者の言い値になっている」

国内にあるプレカットメーカー関係者が明かすように、大量の木材を使うハウスメーカーや中小工務店が危機感を募らせている。

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「次の交渉ピーク9月」へ戦々恐々

「ちょっと情報交換をしませんか」。ある地方の建材会社の幹部は7月はじめ、顔見知りのハウスメーカーから連絡を受けた。指定された高級料理店に向かうと、上座に通され、よもやま話に花を咲かせたという。

急上昇しているプレカット材(加工材)の価格は9月にピークを迎えるとの見方も(写真:ポラテック)

「特に何かをお願いされたわけではないが、『(木材の融通について)今後もよろしく』ということだと思う」(建材会社幹部)

木材の仕入れは6月に交渉の山場を越え、各社は一息を付いた。しかし、あるハウスメーカー幹部は「(次の交渉のピークとなる)9月は大変なことになると覚悟している」と身構える。

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「木材のキーマン」が見る価格高騰の行く末

木材の仕入から加工まで手がけるプレカット(加工材)業界最大手のポラテックは、4月から実施していた受注の量的制限を6月21日に解除した。

50年にわたり木材業界に身を置く、プレカット最大手・ポラテックの北大路専務(記者撮影)

一方でプレカット材の取引価格は上昇を続けている。ポラテックと納入先との間での7月の取引価格は1月比で、梁に使う木材で1立方メートル当たり300%、柱に使う木材で1本当たり205%上昇している。

木材業界で50年にわたって仕事を続ける、同社の北大路康信専務は「(木材の)価格のピークは9月、今年いっぱいは高い」と断言する。北大路専務に、ウッドショックの先行きについて聞いた。

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森 創一郎 東洋経済 記者

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もり そういちろう / Soichiro Mori

1972年東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科修了。出版社、雑誌社、フリー記者を経て2006年から北海道放送記者。2020年7月から東洋経済記者。

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